種子島宇宙センターから打ち上げられたH3ロケット8号機が、第2段エンジンの早期燃焼停止により失敗した。この失敗は2023年の初号機以来2度目となり、日本の宇宙開発に大きな影響を与えそうだ。

打ち上げの経緯と失敗の瞬間

12月22日午前10時51分30秒、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターからH3ロケット8号機が打ち上げられた。日本版GPS衛星「みちびき5号機」を搭載したロケットは、当初、強風が吹く中でも晴天のもとで順調に飛行を開始したように見えた。

打ち上げられたH3ロケット8号機(12月22日午前10時51分)
打ち上げられたH3ロケット8号機(12月22日午前10時51分)
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しかしJAXAによると、打ち上げから約3分後、第1弾エンジンの燃焼中にエンジンの作動に影響を及ぼす水素タンクの圧力が何らかの理由で通常より下がり始め、第2段エンジンの燃焼が予定より早く停止したという。この異常により、搭載していた「みちびき5号機」を予定の軌道に投入することができず、打ち上げは失敗に終わった。

JAXAの謝罪と失敗の原因

打ち上げ失敗から約3時間半後、種子島宇宙センターで会見を開いたJAXA(宇宙航空研究開発機構)は、失敗について謝罪した。

山川宏理事長は「予定した軌道にみちびき5号機を投入することができず打ち上げに失敗した。国民の皆様からの期待に応えられず心よりおわび申し上げる」と述べた。

JAXAの岡田匡史理事は「今回の原因が果たして第2段にあるのかどうか自体もこれからの原因究明によるところ」とし、「H3ロケットが信頼性の高いロケットとして役目を果たせるよう全力で取り組みたい」と語った。

今後への影響と住民の声

今回搭載されていたみちびき5号機は日本版GPSとして、スマートフォンやカーナビなどの位置情報の精度向上や災害時の情報発信にも活用される予定だった。政府は他国に頼らない自立したサービスを可能にするため7機体制への増強を目指しており、今回が6機目だった。

打ち上げを見学していた地元住民からは、「下から見る分にはうまくいったように思えた。割と深刻な事態らしくて今後の打ち上げに影響出るのではないかという不安を感じる。計画に支障が出てくるのではないか」という懸念の声が聞かれた。

また別の住民は「せっかく打ち上げられたのにそういうことがあってJAXAの人も大変だと思う。私たちは上がるのが見れて満足した」と話した。

今後のロケット打ち上げへの影響

H3ロケットはこれまでに打ち上げられた7機のうち、2機が失敗している。H3ロケットは2025年6月に最終号機が打ち上げられたH2Aロケットに代わる日本の主力ロケットとして、打ち上げコストの削減を目指して開発された。

種子島宇宙センターでは2026年2月にH3ロケット9号機の打ち上げも控えているが、JAXAは「今回の失敗について詳しい原因が分からない限り、新たな打ち上げは難しい」としている。

宇宙ビジネスの市場が拡大する中、今回の打ち上げ失敗は日本のロケット技術に対する世界からの信頼に影響を与えることが懸念される。

(動画で見る▶【中継】ロケット打ち上げ失敗 その時 JAXA関係者、現場は 種子島宇宙センター)

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