12月17日、種子島宇宙センターから打ち上げ予定だったH3ロケット8号機は、カウントダウン残り17秒で緊急停止となった。原因は冷却水を供給する地上設備の不具合によるものだった。

打ち上げ直前で中止、見守った人々から落胆の声

2025年12月17日午前11時11分、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターでH3ロケット8号機の打ち上げが予定されていた。しかし、打ち上げ時刻の約17秒前にカウントダウンが停止し、予定されていた打ち上げは中止された。

12月17日、種子島宇宙センター(報告:鹿児島テレビ 轟木康陽記者)
12月17日、種子島宇宙センター(報告:鹿児島テレビ 轟木康陽記者)
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打ち上げを見るために県内外から多くの人が見学場に集まっており、中止の知らせを受けて落胆の声が上がった。愛知県から訪れた見物客は「(打ち上げ中止になって)残念です。また次のチャンスに来たい」と語り、別の見物客も「楽しみにしていたけどちょっと残念です」と心境を明かした。

さらに愛知県からの別の見物客は「成功のための中止だから仕方ない。できれば見に来たいので今から予定考え直してまた参加したい」と前向きな姿勢を見せた。

冷却水供給に不具合、地上設備で初めての事態

打ち上げ予定時刻から約3時間後の午後2時、JAXAは種子島宇宙センターで会見を開き、打ち上げ中止の原因について説明した。原因は冷却水を出す地上設備に不具合があったためで、本来必要な量の冷却水が出ず、自動的に緊急停止したという。

冷却水はロケット打ち上げ時に発生する高温・高圧のガスを冷やすために使用され、地上設備や機体、衛星などを保護する重要な役割を担っている。

原因は「冷却水を出す地上設備に不具合」
原因は「冷却水を出す地上設備に不具合」

H3プロジェクトチームの有田誠プロジェクトマネージャは「内閣府、衛星関係の皆さまに大変申し訳ないと思うのと同時に、H3の打ち上げを楽しみに種子島まで来ていただいた多くの皆さまにも期待に添えず大変申し訳なかった」と謝罪の言葉を述べた。

不具合が発生した設備は2024年11月のH3ロケット4号機の打ち上げ時に導入されたもので、種子島宇宙センターでは初めての不具合だという。

「みちびき5号機」搭載、再打ち上げ日程は未定

今回のH3ロケット8号機には、スマートフォンやカーナビなどの位置情報の精度向上に役立てられる日本版GPSと呼ばれる「みちびき5号機」が搭載されていた。JAXAによると、機体と衛星に損傷は確認されていないという。

有田プロジェクトマネージャは「できるだけ早く打ち上げ再開にこぎつけたい。もちろんしっかりと原因を究明、調査することが何よりも大事だと思っているので予断を持たずにしっかり調査を進めたい。まだどれくらいかかるかは現時点では答えられない」と述べた。

新たな打ち上げ日程は未定で、2025年内に打ち上げが可能かも不透明な状況となっている。

2025年6月にH2Aロケットの最終号機が打ち上げられて以降、日本の宇宙開発はH3ロケットに移行している。日本のロケットに対する信頼性の向上や国際競争力の強化に向けて、一刻も早い原因究明が求められている。

【当日のライブ配信映像を見る】H3ロケット8号機打ち上げ(中止)

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