年末年始の帰省や旅行で気になるのが高速道路の渋滞。ついイライラとしてしまい、事故に繋がってしまう恐れもある。この渋滞を予測する九州でたった1人の専門家に密着した。
渋滞予測の専門家は全国に僅か12人
『NEXCO西日本』によると2025~2026年にかけての年末年始、九州自動車道の下り線で12月27日から渋滞が発生、1月3日の夕方には上り線、広川インターチェンジ(福岡・広川町)付近で最大25キロ、通過に通常より1時間ほど余計にかかる予測となっている。※詳細は巻末。

こうした九州管内の高速道路の渋滞を予測しているのが、名刺に『渋滞予測士』と記されているNEXCO西日本の松下聖史さんだ。

松下さんは、九州で唯一の『渋滞予測士』なのだ。

渋滞予測の専門家は、全国に僅か12人だけ。松下さんは、そのうちの1人として九州エリアを担当している。

現在、調べている日にちを尋ねると「来年の5月、ゴールデンウイーク辺り」と半年近く先の渋滞まで予測しているという。

その方法を尋ねると「10年分の過去の渋滞の実績があって、だいたい5年に1回、同じ曜日の配列があるので、5年前のその年のデータを参考にしている」という松下さん。

過去の渋滞実績に最近の交通状況、さらに大きなイベントの開催日時などを加味して渋滞を予測し、ホームページの渋滞予測カレンダーに反映している。

松下さんによると「渋滞発生の場所や時間などの的中率は、7割といわれている」のだという。「年末年始も確かほぼ正解、合っていた」と松下さんはにこやかに笑った。

そして松下さんの仕事は渋滞予測だけではない。渋滞を防ぐ運転を促すため、道路標識のデザインや設置場所などの提案も行っている。
渋滞予測の活用で年末年始も快適に
そんな松下さんに車に同乗してもらい、渋滞の原因や運転のポイントについて教えてもらうため、実際の高速道路(筑紫野→基山PA)へ向かった。

すると「ここから基山PA付近まで。知らないうちに速度低下が起きているパターンが多い」と話す松下さん。気づかないうちに速度が落ちる!? いったいなぜ!?

その原因は、上り坂。筑紫野~基山間は上り坂が続いていて、知らないうちに速度低下が起きているパターンが多いというのだ。一般道に比べて勾配が緩やかな高速道路では、メーターを確認しながら速度を一定に保つことがポイントとなる。

午後5時。事故と夕方の混雑で九州自動車道の上り線(小郡IC→鳥栖)は渋滞。渋滞すると車間距離が短くなり、追突事故の発生は通常の40倍以上になるという。

松下さんは、「この先、長崎道と大分道からの合流があるので、合流を避けるために多くの人が右側に寄っていると思う。右側の方が追い越し車線側で早そうなイメージはあるが、実際に走ってみると一番左の第一走行車線が一番空いていて早い」と説明する。

さらに、合流地点では、加速車線からすぐに合流しようとする車が多く見られるが「本当は、加速車線を全部使って一番先端の一箇所で、交互に合流してもらうのが、一番スムーズな方法」と松下さん。追い越し車線と走行車線を適切に使うことが大事だというのだ。

渋滞を減らすために奮闘する渋滞予測士の松下さん。年末年始を前にドライバーに呼びかけたいことは「予測で混雑すると見込んでいる時間帯については、できるだけ避けて利用してほしい」とのこと。

適切な運転と渋滞予測の活用で、年末年始も快適に帰省や旅行を楽しみたいものだ。
九州道年末年始の渋滞 最大25キロ
渋滞に関して年末年始の主な予測を詳しく見ていく。
まずは年末。九州道の下り線で12月27日、28日の午前11時頃、太宰府IC付近を先頭に最大10キロの渋滞。続いて年明けの九州道の上り、1月3日の午後4時頃、広川IC付近を先頭に最大25キロの渋滞。通過にするのに通常より1時間多くかかる。

そしてその翌日も渋滞。1月4日の午後4時頃の上り線、太宰府IC付近を先頭に最大20キロとなっている。通常より50分ほど時間が掛かる。余裕を持って移動するように心がける必要がある。
(テレビ西日本)
