テレビ宮崎の夕方ニュース「#Link」でお天気コーナーを担当している気象予報士・古山圭子さんが天気の豆知識を解説するコーナー。今回は、「洗濯物の乾きやすさ」をテーマにお伝えします。
クイズ「洗濯物が乾きやすいのは夏?冬?」
冬の晴れた日は空気がカラカラに乾燥しているイメージがありますよね。ニュースでも「空気が乾燥しているので火の取り扱いに注意してください」という呼びかけをよく耳にします。空気が乾燥しているなら、洗濯物もよく乾きそう!と思いがちですが、実はそうとも限りません。まずは古山予報士から藤崎アナへのクイズから始まりました。

古山予報士:
湿度が同じ時、洗濯物が乾きやすいのはどっちでしょうか? A:夏 B:冬
藤崎アナ:
経験的には「冬」でしょうか?
残念ながら不正解。正解は「A:夏」でした。湿度が同じなのに、なぜ夏の方が乾きやすいのでしょうか。その秘密は、気温によって空気が含むことのできる水分量(飽和水蒸気量)が違うことにありました。
秘密は空気の「椅子の数」にあり!
古山予報士は、この難しい仕組みを「椅子取りゲーム」に例えて解説してくれました。

まず、空気は水分を含むことができる「椅子」を持っていると考えてみましょう。
夏の空気(気温30℃):たくさんの水分を含むことができるので、「椅子は8つ」
冬の空気(気温15℃):夏ほど水分を含めないので、「椅子は4つ」
ここで、クイズの条件だった「湿度50%」の状態を考えます。湿度は、空気中の水分割合のことなので、それぞれの空気で椅子の半分が水分で埋まっている状態です。
夏の湿度50%:8つの椅子のうち、4つが水分で埋まっている。(残りの空席:4つ)
冬の湿度50%:4つの椅子のうち、2つが水分で埋まっている。(残りの空席:2つ)

ここに、洗濯物から3つの水分が出てきたとします。
夏の場合、空席が4つあるので、3つの水分はすべて椅子に座ることができます。つまり、洗濯物から水分がスムーズに空気中へ移動し、洗濯物は乾きます。

しかし冬の場合、空席は2つしかありません。3つの水分のうち2つは座れますが、残りの1つは座れずに溢れてしまいます。この「溢れた水分」が洗濯物に残ってしまうため、乾きにくくなるのです。
同じ湿度でも、気温が低い冬はもともと空気中に水分が入れるスペース(空席)が少ないため、洗濯物が乾きにくい、というわけだったのですね。
冬の洗濯物を早く乾かす工夫
では、乾きにくい冬の洗濯物とどう付き合えばよいのでしょうか。古山予報士は、NPO法人クリーニング・カスタマーズサポートの鈴木和幸代表が推奨する方法を2つ紹介してくれました。

1. アーチ干し
長い洗濯物を両端に、短いものを真ん中に干す「アーチ干し」。こうすることで、洗濯物の下に空間ができ、空気の通り道が生まれます。乾きにくい厚手の衣類などにも風が当たりやすくなり、さらに上昇気流が発生することで、効率よく乾かすことができるそうです。
2. 乾いたタオルと一緒に脱水
洗濯機で脱水する際に、乾いたバスタオルを1枚加えるという方法です。乾いたタオルが他の洗濯物の水分を吸ってくれるため、脱水後の全体の水分量を減らすことができます。脱水時間を少し長めに設定するのも効果的だそうです。

天気予報を見ると、晴れる日が続くとは限りません。17日(水)の午後は山沿いでにわか雨の可能性があったり、19日(金)から週明けの22日(月)にかけては雲が広がりやすかったりと、洗濯のタイミングが難しい日もありそうです。
ぜひ、今回紹介された「アーチ干し」や「乾いたタオル」の工夫を取り入れて、冬の洗濯を乗り切ってみてはいかがでしょうか。
(テレビ宮崎)
