美容やアンチエイジング業界で、近頃よく使われる「糖化」という言葉。“体のコゲ付き”とも表現される老化現象の一種で、糖化が進むとシミ、シワ、クスミ、たるみ等、肌の老化が加速するほか、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞、アルツハイマー病などに罹るリスクが高まるという。「糖化」のリスクを解くコンテンツが増える中、綾部市立病院(京都府)の糖尿病専門医の大坂貴史さんは、「老化や病気の原因は糖化だけではない。過剰に恐れないでほしい」と話す。

「コゲる」って?糖化のメカニズム

体が“コゲる”現象として、食パンやホットケーキがコゲるイメージとともに紹介されることもある糖化。こんなことが体の中で起こっていると想像すると恐ろしくなってしまうが、糖化とはそもそもどんな現象なのか。大坂さんに説明していただこう。

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「糖化とは、体内の余分な糖質とタンパク質が結びついてAGEs(終末糖化産物)とよばれる老化物質が生成される現象のこと。AGEsが増えると、シミやシワ、たるみといった肌の老化が進むだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞などさまざまな病気を発症するリスクが高まります。ちなみにAGEsは私の専門分野である糖尿病とも関係が深く、糖尿病の合併症である動脈硬化、神経障害、網膜症などもAGEsの蓄積によって引き起こされることが分かっています」

糖化によって生成されるAGEsが老化や病気を引き起こす悪玉物質であるのは分かったが、何が原因で起こるのだろう?

「糖質の摂り過ぎが最も大きな原因の様によく言われますが、実際には運動不足や睡眠不足、ストレス、食生活の乱れなどさまざまなものが関係しており、その背景に血糖値が上がりやすい体質が存在します。

甘い物の摂り過ぎなどに関係なく、血糖値が高い人や血糖値スパイク(食後の血糖値の急上昇)を起こしやすい人は、糖化のリスクが高いと思っておいていいでしょう」

糖化を防ぐには、甘い物を過剰に取り過ぎないようにしたり、運動したり、日常生活と血糖値のコントロールがある程度有効とのことだが…大坂さんはこう続ける。