「しかしそれも程度の問題で、現在健康な人が糖化を恐れて血糖値の上昇を必要以上に気にしてもあまり意味がありません。糖尿病で食後血糖値が280〜300mg/dLに上がる人が下げようと努力するのは大切ですが、食後血糖値が160mg/dLの人が、がんばって140mg/dLに下げたところで肌や健康にそれほど影響があるとは思えないからです。糖質を制限したことでカロリー不足に陥って体調を崩してしまったら元も子もありませんよね」
サプリやコスメが効くかは不明
糖化予防に効く「抗糖化サプリメント」や「抗糖化コスメ」などの商品も最近増えているようだが、「どれほどの効果が期待できるのか疑問が残る」と大坂さんは言う。
「抗糖化サプリには、AGEsの生成を阻害したり、蓄積したAGEsを分解したりする成分等が一応入っているようですが、それが本当に糖化予防に効果があるのかどうかは今のところはっきりしません。
サプリを飲んで一時的にAGEsの生成を抑制できたとしても、長期間飲み続けることで肌や血管の老化を予防できるかは立証されていないし、どれだけの量のサプリを飲めば、どの程度の効果があるといった数値も明らかになっていません。詐欺だとはいいませんが、そうしたことをきちんと説明しないで、やみくもにサプリを勧めるサイトやサロンやクリニックは疑ってかかったほうがいいかもしれませんね」
サプリやコスメに頼るのではなく、「食生活を改善し、ビタミンCやカテキン、食物繊維、発酵食品などの抗糖化物質を含む食品を積極的に摂取することで、糖化は防げる」とアドバイスする専門家もいるが、こうしたアドバイスについても大坂さんは懐疑的だ。
「もちろん食生活に気をつけることは大切です。でも、それで糖化由来の老化や病気が防げるかは別の話です。たとえば、“お茶に含まれるカテキンには酸化や糖化を予防し、脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクを低下させる効果があるので、毎日飲みましょう”とアドバイスしている専門家もいますが、病気にはさまざまな要因が関係しているため、お茶を毎日飲んだからといって脳梗塞や心筋梗塞が防げるわけではありません。
確かにカテキンは糖化予防にある程度効果はあるのかもしれませんが、だからといってカテキンを摂れば脳梗塞や心筋梗塞のリスクが減ると一足飛びに考えるのは無理があります。もっと多元的、総合的に考える必要があるのです」
