自然と人の営みを映像でつづるジオグラフィックとやま。
年の瀬が近づく中、早くも来年の春に向けて準備する彫刻師の工房を訪ねました。
木彫りの里、南砺市井波。彫刻師、山崎新介さんの作業場です。
彫っているのは獅子舞で使われる天狗のお面。
*彫刻師 山崎新介さん
「正しく見える角度というか、実際の面を見ることになる角度。下から見てたら分からないところもあるので、面を被って踊っているところを想像して。表情がどういう表情になるかってところですね」
*彫刻師 山崎新介さん
「よく『いさどい』というか勇ましい感じの顔を所望されることがあるんですが、勇ましいばかりでも偏るし、ギョロっと目をむいて怖そうな顔ばかりというのも違う気がして。荒ぶる獅子を蟄伏してとか、色んな表情があると思うのでいろんな表情が見えるような面にできたらいいなと思って」
数十本の彫刻刀を巧みに使い分け、天狗の面に表情を刻んでいきます。
*彫刻師 山崎新介さん
「まだもっと削るけど俺のでかい顔でかぶれるんだったら誰でもかぶれるだろうなーと思って調整しています」
材料には軽くて丈夫な桐木が使われます。
特に天狗の面には鼻の部分も一体化して彫れる「枝が残った木」を選ぶのが山崎さんのこだわりです。
*彫刻師 山崎新介さん
「とも木という一つの木から彫りだすのが強さとかだけではなくてなんとなく大事かなと思っちゃったり。いや後から付けたっていいんだけどやっぱり一つのものから彫りだしたいなと思いますね。木がなくて困ってますけど」
桜が咲くころ、優雅に、そして勇ましく舞う天狗の姿を想いながら…。
一刀一刀彫り進めます。
*彫刻師 山崎新介さん
「(獅子の面の)目が生きるようにっていうのは思って彫っている。見栄を切る時にパチッと表情が決まるようにっていうのは思ってますけど。踊りてもそういう風に見せて踊ってくれているからそれにこたえられるようなかたちにしとかないとね」