続く物価の高騰。新たな経済対策として自治体への重点支援地方交付金の拡充を決めた政府が、推奨しているのが『おこめ券』の配布だ。そのおこめ券が、いま波紋を呼んでいる。
60円の経費が引かれるおこめ券
「おこめ券に使用期限を設ける際には、券の発行者にできる限り早く準備を進めて頂けるよう情報の収集、提供に努めてまいりたいと考えております」と記者会見で述べた鈴木憲和農林水産相(12月5日)。

おこめ券は、全米販やJA全農が発行しているもので、1枚500円で購入した場合、経費として60円引かれ、440円分の米を購入できるというもの。

「あまりおこめを食べない生活をしているので…。家庭を持っている人にはいいのかな」(女性)という意見や「ありがたい反面、おこめ券だけではなくて、全体的な物価高に対しての施策であれば現金の方が本来はありがたい。現金が一番では…」という意見などが街では聞かれた。

おこめ券を配布するか、しないか。判断を委ねられている県内の自治体からは、その効果に懐疑的な声も挙がっている。
「時間がかかる。経費がかさむ」
北九州市の武内和久市長は「おこめ券は時間がかかる。手数料がかさむ。市民に届く額が相対的に低くなるということから採用しませんでした」と述べた。北九州市は、おこめ券の代わりにプレミアム商品券の発行などを検討している。

また福岡市の高島宗一郎市長は「国民に500円を配るのに1割以上60円。そのコストに対しては国として問題意識をぜひ持って頂きたい」と苦言を呈した。福岡市では、おこめ券の代わりに多くの市民に恩恵がある下水道料金の2カ月無料化などを行うとしている。

政府のやり方に不満の声をあげるのは古賀市の田辺一城市長だ。
「地方自治体は国の下請けではない」
「地方自治体は国の下請けではありません。政府が全国一律におこめ券を実施したいならば、国の責任で国が主体となって実施されればいいと思います」と話す田辺市長。

「地方に交付金を配って物価高対策をやっていこうというわけですから、地方が独自に何をするかを考え実行していくべきものだと思います。地方自治体にその政策の理念と必要性をしっかりとコミュニケーションをとって共有を図るという前提がないといけない。いま、それがあるかというと自治体の長として懐疑的です」。

さらに田辺市長は「市民ニーズも多様ですよ。おこめ券だけに限るとおコメという特定の食料品に対策が限られてしまうので、私としては市民の多様なニーズにアプローチできる手法を考えたいと思っています」と話した。
自治体ごとに検討が進むおこめ券。

テレビ西日本の調べによると、県内では福岡市を含め北九州市や糸島市など合わせて9つの自治体がおこめ券を配布しない方針を示していて、残りの自治体は検討中としている。(12月10日現在)
(テレビ西日本)
