有明海の養殖ノリは毎年のように“色落ち”に悩まされている。今季の前半は高品質なノリが収穫されていたが、少雨で海の栄養が不足し赤潮も発生。有明海全域で色落ちが見られ、漁業者は不安を募らせている。
海水温下がらず史上最も遅い種付け
シーズン前半の「秋芽網」と後半の「冷凍網」の二期作で行われる有明海のノリ養殖。
種付け後、3~5cmに成長したものを冷凍網ノリ用として冷凍保存し、秋芽網ノリのシーズン後、冷凍網ノリの養殖時期になると再び海に張り込む。
今シーズンの種付けが解禁されたのは去年(2025年)11月の上旬。ノリの種が入ったカキ殻つきの長さ約18mの網を漁業者が丁寧に張り込んでいく光景は有明海の秋の風物詩だ。

今季は台風が九州北部にこなかったことで有明海の海水が混じり合わず、種付けに適した水温までなかなか下がらなかった。このため史上最も遅い時期の“種付け解禁”となった。

秋芽網ノリの摘み取りは12月上旬から始まり、佐賀市の沖合の漁場では15cm~20cmに成長したノリを漁業者が摘み取っていく。
今シーズン前半「秋芽網ノリ」は順調
前半の秋芽網ノリは順調なスタートを切った。極寒の冬の夜に船を出し摘み取りをするノリ漁業者の表情も明るく、4年ぶりの“日本一奪還”への意気込みが伝わってくる。

ノリ漁業者 田中慎弥さん:
われわれ生産者は、おいしい黒いノリを消費者に届けたい、その一心で仕事に従事している。(今季は)黒さ(色)もあり艶・味も非常にいいので、良い出来だと思う

今年2月4日に開かれた今シーズン5回目の入札会で出品されたのは約7900万枚。去年より約800万枚多く、良質なノリが出品された。
佐賀県有明海漁協は、今季は雨が非常に少なく海の栄養塩が不足し、赤潮が発生したもののノリの出来は十分と今季の状況を説明していた。
今季も海況悪化…ノリが「色落ち」
今シーズンは秋芽網ノリの出来が良く、後半の冷凍網ノリにも期待が寄せられている。
しかし、有明海の海況はけっして良いわけではない。雨が降らず海の栄養塩が不足し、さらに赤潮も発生しているからだ。

その影響が出てきたのがシーズン後半の「冷凍網ノリ」。水揚げされたノリを見てみると、真っ黒ではなく茶色っぽくなっているのがわかる。これがノリの「色落ち」だ。
まとまった雨が降らないと川から海に供給される栄養塩が不足し、ノリの色落ちの原因となる。

冷凍網ノリは今季の漁の出来を左右する主力。今シーズンこそは“日本一奪還”を期待していた漁の先行きに暗雲が立ち込め、漁業者は懸念を募らせている
「あきらめず頑張るしかない」
毎年のように悩まされている「ノリの色落ち」が今季も発生したことで、漁業者は厳しい面持ちで漁の先行きへの不安を口にする。
ノリ漁師 竹下幸佑さん:
量はあるが色がない分気持ち的には力が入らない。海の状況次第で変わるので、とりあえず最後まであきらめず頑張るしかない

ノリの色落ちは有明海全域で見られるという。
全国的に極端な少雨の影響が問題となる中、海況の改善を祈りながら漁業者は寒さに耐えながら漁を続けている。
