選ばれる人の例外なき共通点
【情熱は言葉と行動で示す】
選ばれる人のもうひとつの例外なき共通点として、「情熱」があります。
情熱とは、「心からやりたい」という思いを言葉と行動で示すことです。情熱はただ持っているだけでは伝わりません。内側にある思いを、どう伝え、どう見せるかが大切です。
同じくらいの情熱を持ったふたりのうち、どちらかひとりに仕事を依頼するとします。ひとりは、「ぜひ、やりたい」と手を挙げている。もうひとりは「これだけ情熱があれば理解してもらえる」と、あえてアピールを控えている。この場合、選ばれるのは前者です。
「物事をはっきり言ったり、出しゃばりすぎたりするのはよくない」と思っている人もいるかもしれません。しかし、それでは社会で生き抜けません。実社会では、「ぜひ、自分にやらせてください」と言って、チャンスを自ら取りに行く人が選ばれていきます。
あるセミナーで、行動の大切さを実感する場面に出合いました。
講師の「ここに1万円があります。ほしい人は?」という声に、多くの人が手を挙げました。しかし、ただひとりだけが立ち上がり、講師のところまで行って1万円を手にし、ポケットに入れました。
つまり、実際に一歩を踏み出した人だけが、そのチャンスをものにするのです。
仕事も同じです。「やりたい」と明言し、一所懸命に取り組む人が、チャンスをつかんでいきます。
ただし、SNSなどで、自分の情熱をアピールする際には注意が必要です。SNSは、「目立ちたいだけ」「自己顕示欲が強いだけの人」と受け取られがちな場でもあります。
そのため、共感を得るには、「その情報を発信している自分を周囲の人はどう見るのか」「自分の情報発信が誰のためになるのか」「社会とどう調和しているか」を考える視点が欠かせません。自分の夢だけでなく、チームや会社、社会の価値を高めることと結びついた情熱であれば、共感を生みます。
選ばれる人とは、情熱を持ち、それをまわりと調和させて表現し、行動で示す人です。熱意は信頼を生み、伝え方が共感を呼び、行動が結果を引き寄せるのです。
井上裕之
いのうえ歯科医院理事長、歯学博士、経営学博士。著書は90冊を超え、累計140万部を突破。実話から生まれたデビュー作『自分で奇跡を起こす方法』(フォレスト出版)はテレビ番組で紹介され、大きな反響を呼んだ。『本物の気づかい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『人生の黄昏を黄金に変える「賢者のかけ算」』(サンマーク出版)、『人間関係が整うとすべてうまくいく』(KADOKAWA)など多数
