高市早苗首相の『台湾有事』を巡る発言に中国が反発し、日中関係の緊張が高まっている。極めて厳しい状態だ。

かつては“爆買いツアー”で賑わうも…

中国外務省が日本への渡航自粛を呼びかけて約半月。福岡国際空港によると福岡~大連便を週1便運航していた中国のLCC・格安航空会社の『春秋航空』は、11月22日から運休しているという。運休の理由について空港の運営会社は、渡航自粛の影響ではないかとみている。

この記事の画像(11枚)

かつては“爆買いツアー”などと称され、中国人の買い物客がフロアに溢れていた福岡市内の商業施設。

2025年もクリスマス及び、年末商戦が本格化するなか、天神のデパート『大丸福岡天神店』では、スーツケースや手荷物を空港や登録ホテルまで有料で配送するサービスや一部売り場のリニューアルなどインバウンド客を意識した店舗作りを進めてきた。

懸念される“春節”(旧正月)の訪日客

こうしたなか、噴出した高市首相の『台湾有事』発言。それによる中国の渡航自粛。デパートの担当者は、現在のところ影響は出ていない状況としているが、大丸福岡天神店の箱崎純史さんは「1月、そして春節(旧正月)に向けては、多くの中国人が来店する。影響が長引かないように願うばかり」と今後について心配な表情を見せる。

一方、博多駅前のホテル『都ホテル博多』。中国からの宿泊客は、多くが個人客で、訪日自粛の影響によるキャンセルは、ほぼ出ていない状況だ。

しかし、天神のデパートの担当者が危惧するように、事態が長期化して2026年の春節時期にまで影響が広がることを当然、懸念している。またその兆しも出始めているという。

『都ホテル博多』セールス&マーケティング部課長の赤峰聖さんによると「来年2月の春節以降の新規予約に関して、かなり慎重な動きが見られる。例年と比べても1割ぐらい予約の入りが少ない状況となっている」とこちらも心配な表情だ。

春節の予約を巡っては『海外の旅行予約サイトの調査では、渡航自粛後に中国の予約キャンセルが40%以上となっている。その多くが、春節の訪日旅行だろう。今は事態を静観するしかない』という話も福岡市内のホテル関係者からは聞かれる。

冷え込む日中関係 打開策は…

11月26日に行われた党首討論では、高市首相の台湾有事を巡る発言について、立憲民主党の野田佳彦代表から責任を問われる場面もあった。直近のFNN世論調査では、高市首相の台湾有事を巡る答弁について「適切だ」との回答が「どちらかといえば」を含め61.0%となっている。

アメリカの有力紙『ウォールストリート・ジャーナル』は11月26日、アメリカ政府当局者の話として、トランプ大統領が25日に行った高市首相との電話会談で「発言を控えるよう」求めていたと報じた。しかし木原稔官房長官は記事の内容を否定している。

ビジネスや人的交流がますます停滞することも懸念される日本と中国。中国側のさらなる反発も予想されるなか、事態収束に向けた道筋は見通せていない。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。