■変動10年国債のデメリット

(1)購入から1年間は中途換金できない
(2)中途換金すると、直前2回分の利子を返還
(3)自動積立ができない
(4)利子は現金で払い出されるので複利運用できない

購入から1年間は中途換金ができません。ただし、口座名義人が亡くなった場合や、大規模な自然災害の被害を受けた場合などには中途換金が可能です。1年経って中途換金すると、直前にもらった2回分の利息は返還しないといけませんが、元本割れは絶対にしません。

利子は現金で払い出されるので、利息が利息を生むという「複利運用」はできない商品です。

最低投資金額は1万円という縛りもありますので、1万円未満の再投資ができません。複利効果を活かすならば、定期預金がベターでしょう。

「固定5年」よりも有利なポイント

2025年11月募集分の金利は、固定5年国債が年1.19%、変動10年国債は年1.10%です。

1回目にもらえる利息は固定5年国債の方が大きくなりますが、現在の日本は金利が上昇していくフェーズです。

購入後に金利が上昇した場合、保有している国債の利率が変わるのは「変動10年国債」だけ。金利が上昇した後に、保有している「固定5年国債」を売却して、新しく募集されている「固定5年国債」を購入すれば良いじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、中途換金は発行後1年経過しないとできません。また、その際2回分の利息相当分を中途換金時に支払います。元本割れはしませんが、せっかく得られた利息がなくなります。

金利が下がった場合は、固定5年国債の方が有利になりますが、金利上昇時代では変動10年国債を購入しておいた方がベターです。

ネットでも購入できる

個人向け国債は、銀行や証券会社など多くの金融機関で取り扱っています。財務省のウェブサイトには取扱金融機関の一覧がありますので、自分の利用している金融機関で購入できるかぜひご確認ください。インターネット上でも購入できます。

店舗銀行・証券会社はもちろん、SBI証券・楽天証券・マネックス証券、三菱eスマート証券といったネット証券でも個人向け国債を購入できます。

元本割れせずに、預貯金・定期預貯金より高い金利でお金を増やしたい人は、個人向け国債の購入を検討してはいかがでしょうか。

頼藤 太希(よりふじ・たいき)
経済評論家・マネーコンサルタント。(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。

頼藤太希
頼藤太希

経済評論家・マネーコンサルタント。(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。
慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊超、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。
X(旧Twitter)→@yorifujitaiki