県内の魅力を再発見「小旅」、今回は福井市の西部にある下市町を紹介します。訪ねてみると、歴史や自然、そして地元の人たちの魅力が詰まった場所でした。
      

福井市の西部、東安居地区にある、福井市下市町(しもいちちょう)。背景には、町のシンボル、秋を彩る「下市山(しもいちやま)」がそびえます。
 
下市町は、福井市街方面から日野川に架かる日光橋(にこうばし)を渡ったところにあります。
 
この日光橋が架かる辺りは、江戸から明治時代にかけて舟渡場(ふなとば)として栄えた場所で、福井城下と越前海岸を結ぶ道筋としても重要な役割を担ってきました。
明治44年には渡船(とせん)に代わり橋がかけられ、大正3年には、木造の橋に架け替えられました。


そんな、歴史ある橋を渡ると、下市山のふもとにビニールハウスが…
 
にぎやかな声が聞こえてくるハウスを訪ねてみました。70代の男性4人が会話を楽しんでいました。
 
「集まったときにはこうやってお茶飲んだり」、こう話すのは下市町に住む吉田茂一さん73歳。ここは、地域の人たちが集まる憩いの場なんだそうです。
 
その奥には、「こちらが実際に作っているシャインマスカットの木なんです」吉田さんは、3年前に山梨に訪れたときに食べたシャインマスカットの味が忘れられず、地元での栽培を決めたんだそうです。
 
ただ、農業は全くの未経験。独学で栽培方法を学びつつ、東安居地区の壮年会メンバーにも声をかけて、一緒に取り組む仲間を集いました。
 
「これは一番強い枝が2本に分かれたのをずっと伸ばして、その途中に出てきた枝なんかが棚の方に来るということは聞いてはいるんですけど、調べながらやらないと本当にわからなくて、もう試行錯誤です」
 
実が成るのは3年後の予定だったのですが…「奇跡かなこれ。7、8カ月ですけど、実が成ったんです。(育て方も)あながち間違いじゃないのかな。公民館まつりとかで出せたらいいの…」
 
3年後に地域のまつりで、下市町で育てたシャインマスカットを提供するのが目標です。


町のシンボル「下市山」についても聞いてみると、“ミルキングコース”という、景色を見ながらのんびりハイキングを楽しめる登山道があることを教えてくれました。
 
標高は260メートルの低い山です。地区の住民らの手によって整備されたという登山道は程よい起伏が続きます。所々に手作りの看板が立てられていて、登山客の心をほっこりさせてくれます。足元には、色づいた落ち葉が絨毯のように広がります。
 
登り始めて25分。第2展望所に到着しました。

福井の街並みが一望できる絶好の場所。日野川と足羽川の合流地点もはっきり見えました。
 
地区内外の愛好家に親しまれる山。ふもとにある下市町。ここは、歴史と自然、そして地域の人たちの温かみが根付く場所でした。
      
<福井市下市町>
福井市西体育館の横の道路を西に進み、日野川に架かる日光橋を渡った地域で
<下市山>
頂上は、今回紹介した第2展望所からさらに30分の地点

福井テレビ
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