看板商品の霧ケ峰をはじめとするエアコンや冷蔵庫を長年静岡の地で製造している三菱電機静岡製作所。なぜ、静岡に工場ができたのでしょうか？その役割とともに紹介します。
“酷暑”と言われる夏がようやく終わり、秋が来たかと思えば、あっという間に冷え込みが強まっている今日この頃。
これからの季節に再び活躍するのがエアコンです。
伊藤渚紗 記者：
静岡市の幹線道路のすぐそばには巨大な家電工場があります。ここからモノづくり県・静岡で作られたエアコンが全国へと届けられます
静岡市駿河区にある三菱電機・静岡製作所。
敷地面積は20万6200平方メートルと東京ドーム4.4個分で、主力商品の霧ケ峰をはじめ家庭用から業務用まで国内向けのすべてのエアコンを開発・製造しています。
近隣住民：
工場の中のことは全然わからない。見たい・知りたいと思う時はある
近隣住民：
いつからあるんだろうね？わからない
近隣住民：
（Q.なぜ静岡にあるか知っている？）それは知らない…聞いたことがない
近隣住民：
なんで静岡だったんですかね？三菱さんが
長きにわたって三菱電機のエアコン事業を支えている静岡製作所。
なぜ静岡にあるのか？
そして、どんな役割を担ってきたのか？
静岡製作所が開業したのは今から71年前の1954年。
当初からエアコンの製造を始め小型エアコン第1号のウインデヤを発売しますが、この時の主力商品はエアコンではありませんでした。
三菱電機静岡製作所総務部・飯島芽衣さん：
1952年頃に当時、名古屋製作所で生産していた冷蔵庫の将来需要が増加するということを見越して、どこかに工場を新設し移転する話が持ち上がっていた。その時に候補地としてここ静岡にあった当時の三菱重工の静岡工場があがり、三菱重工からこの工場を譲り受けることになった
時は高度経済成長期の前夜。
いわゆる“三種の神器”として各家庭に普及し始めていた冷蔵庫の製造を始めると、2500台程度だった出荷台数は8年後の1962年には30万台を突破しました。
三菱電機静岡製作所総務部・飯島芽衣さん：
1953年は家庭電化元年とも呼ばれていて、戦後混乱にあった日本経済が少し復旧して一般家庭に家電製品が普及し始めた年だった
その後、1960年代半ばに到来した3Cの時代。
カラーテレビ・クーラー・自動車の“新・三種の神器”が一般家庭に浸透してくると、静岡製作所では主力商品をエアコンへと切り替えました。
三菱電機静岡製作所総務部・飯島芽衣さん：
こちらが壁掛けセパレートエアコンとして1967年に誕生した霧ケ峰の第1号
ルームエアコンの世界最長寿ブランドとしてギネス記録にも認定されている三菱電機の霧ケ峰。
元々は避暑地のような快適さを生み出すエアコンとして、床置式が上高地、窓掛け式が軽井沢、壁掛け式が霧ケ峰と名付けられましたが、時代や生活様式の変化によって霧ケ峰だけが今も残り、累計の出荷台数は4400万台に上ります。
三菱電機静岡製作所営業部・山岡徹さん：
こちらが工場になっていて、国内で出荷されるすべての三菱ルームエアコン霧ケ峰を生産している
静岡製作所では現在10シリーズ71機種ある霧ケ峰を製造。
特徴はこの場所にエアコンに関わるすべての部門を集約していることにあります。
三菱電機静岡製作所営業部・山岡徹さん：
こちらの製作所の中に企画・生産・研究・営業、あとはアフターサービスに至るまで全部門がいて、連携して市場の声を反映し生産しているところが強み。日本の市場に合わせて日本のお客さんの生活に合わせていろいろな機能を開発し、それに合ったものを生産している
また、静岡製作所は生産システムや技術面で海外に8つある工場のモデルとなるマザー工場の役割も果たしていて、三菱電機の海外戦略において中核を担う存在でもあります。
三菱電機静岡製作所総務部・飯島芽衣さん：
地域に根ざした形で進化させて開発・生産をしているので、8拠点のマザー工場という意味でも三菱電機の空調冷暖房事業を世界的に支える役割。これからもここ静岡から人へのやさしさと社会への配慮を両立した製品を提供をしながら持続可能な未来の実現を目指していきたい
空調冷熱システム事業を重点成長事業に位置付けている三菱電機。
円安やサプライチェーンの問題から家電生産を国内に回帰する企業も増える中で、その存在感は今後、ますます増していくことが予想されます。
