大分県大分市にあるクラサスドーム大分では、開閉式の屋根が1年以上にわたり開いたままになっている。
原因は屋根を動かすためのワイヤーロープの老朽化で、県は3年かけて修理することを11月に発表した。費用は約30億円だという。
こうした公共施設は建設から数十年が経ち、老朽化が進んでいて同じタイミングで修繕などが必要になっていていま自治体にとって課題になっている。
2001年にドーム完成 2019年にはラグビーW杯の会場にも
クラサスドーム大分が完成したのは2001年、総事業費251億円をかけて整備された。
公募で決まった愛称は「ビッグアイ」。縦240メートル、横150メートル総重量2500トンある巨大な屋根が大きな目のように動く。
天候に左右されないスタジアムとして活用され2019年にはラグビーワールドカップの会場にもなった。

大分を代表する球場も老朽化が進む
県は今後ロープの取り換えなど工事を行う予定だが屋根を再び動かせるようになるのは約4年後の見通しだという。
スポーツ施設の老朽化はほかにも。
大分市の大洲総合運動公園にあり県が管理する別大興産スタジアムである。
1980年の建設以来様々な名勝負が繰り広げられてきた大分を代表する球場だが…
いすの塗装がはげていたり、さびが見られたりと老朽化が進んでいる。
いま、新たなスタジアムの建設を求め、有志が署名活動を行っている。

大分市長「整備費や維持管理費の増大が大きな課題になっている」
公共施設の老朽化は知事や県内の市町村長が集まった意見交換会でも話題になった。
ーー足立大分市長
「大分市では昭和39年の新産業都市指定以降、急激な人口増加に伴い数多くのスポーツ施設が整備された。しかし、現在、老朽化が進み、整備費や維持管理費の増大が大きな課題になっている」
公共施設の維持や管理は多くの市町村で課題になっていて今後、県や各自治体が広域的に連携していく必要があるといった意見も出ていた。

専門家「一斉に更新や大規模修繕が必要な時期に来た」
専門家は公共施設は重要だが人口減少が進む中でその必要性を見直す必要があると指摘する。
ーー日本文理大学 長崎浩介教授
「鉄筋の建物だとだいたい50年から60年が耐用年数なので今の時期になって一斉に更新なり大規模修繕が必要な時期に来た。(行政には)財政の制約がある。社会保障費が増大していて他の予算が限られている。人口が減少しているので、そもそも今のインフラの供給量が必要なのかということを問い直すべき」
クラサスドームや野球場以外にも、公共施設の中には生活に身近な体育館や公民館などもある。地域の拠点や、災害時の避難所になっていたりして、そうした施設の維持管理も重要である。

県内で最も面積が広い佐伯市には704の公共施設が点在している。
多くの公共施設がある背景には平成の大合併が。
県内では58あった市町村が、2006年に現在の18市町村になった。
佐伯市は1つの市と5つの町、3つの村が1つになり、それぞれの町や村の施設は佐伯市の管理となった。
合併当時8万人余りいた佐伯市の人口は現在、6万3000人ほどにまで減っている。
施設の数や場所について見直しが必要な時期が来ているが「近くにあった方がいい」という住民の声もあり、市は、そのあり方を検討していきたいとしている。
また、日本文理大学の長崎教授は、これからの時代は1つの施設に複数の機能を持たせるなど機能の集約化を図る必要があると話している。
(テレビ大分)

