9月12日、三重県内を襲った観測史上最大の記録的な大雨により、甚大な被害が出た四日市市の地下駐車場「くすの木パーキング」。

あれから約2カ月が経過した今、地下駐車場で水没した車はどうなっているのか。
「サン!シャイン」が水没被害に遭った人を訪ねると、いまだに車を修理に出せずにいるといいます。
仮設駐車場に残されたまま…ボロボロの愛車
市内の飲食店で働く杉中さん。毎日、車で出勤し大雨の日も地下2階の駐車場に停めていました。

雨がひどくなり店内に水が入って来たので、杉中さんが慌てて車を見に行くと、すでに地下2階は浸水。少しでも上にあげようと慌てて、地下1階に移動させたといいます。

車が水没被害に遭った 杉中康人さん:
車をちょっと心配になって見に行ったら、もう車のドアの下ぐらいまで(水が)来ていたんで、また鍵取りに戻ってきて。
(車を移動させたら)その時はもう真っ暗だったので、そのままの状態でちょっと必要な物だして。そこから2、3日しとる間に(駐車場が)閉鎖された。

杉中さんの車を地下1階に残したまま、地下駐車場は閉鎖。丸4日かけて排水作業が行われました。
管理会社から連絡があり、再び駐車場に入ることができたのは、2週間後のこと。ようやく迎えに行くことができた愛車は、水没し泥やカビにまみれた無残な姿になっていました。

その後、所有者の確認が済むと、地下駐車場で水没した車274台全てが仮設駐車場に運び出されましたが、それから約1カ月半。いまだに仮設駐車場から自分の車を出せずにいるといいます。

車が水没被害に遭った 杉中康人さん:
駐車場側の話を聞いてから動こうと思っていました。それで、これが「補償の対象なのか?」もうこれは「天災ですよ、保証しません」というのであれば、自分で全部段取りをしないといけないなと思っていて。
車両保険を使うと、次に車両保険が上がるんですね。保険代がお金下りてきても結局、保険料が上がるので。

水没した車の修理などに関して、駐車場の管理会社からの補償があるのかないのか、まだ曖昧な状態が続いており、自身が加入する任意保険を使って修理などをすると、一般的に、翌年から保険料が上がってしまうため、管理会社からの回答を待ち続けているといいます。

車が水没被害に遭った 杉中康人さん:
待つ状態ですよね。向こうから。電話こちらから入れても「まだ何も決まっていません。すいません、まだ何も決まっていません」の一点張りなんで、なんとも動きようがなかったんで、これがずっとですよ。今もなお…現在進行形ですよ。
――その間の移動の車はどうしているのですか?
もう次の日にはレンタカー会社で車借りて、移動手段はもうそれで取っていました。
逆にもうあきれて、もうそろそろ動かないけないという形になってきたわけですね。

これまでに支払ったレンタカー代は、約12万円。

杉中さんに車の現在の様子を見せてもらうと、ナンバーは剥がれ落ち、青いシートが被されたまま。シートを外すと、車内にはカビが繁殖し、むせかえるような臭いが充満していました。

車が水没被害に遭った 杉中康人さん:
かわいそうだよね、一生懸命頑張っていたのに。天災だったのか人災だったのかを明確にしてもらって、これが天災やったっていうんだったら、そうなのって受け入れるしか仕方ないじゃないですか。それをはっきりしてもらいたいですね。
浸水訓練6年間実施せず 補償の行方
1時間の雨量が観測史上最大を記録し、“過去に例のない天災”ともいえる、9月の大雨。

一方で、地下駐車場側は、毎年行うはずの浸水対策の訓練を2017年から6年間、実施していなかったことが分かりました。

駐車場の管理は、国の他に管理会社2つが関係しており、それぞれ補償について問い合わせたところ、同様の答えが返ってきました。
駐車場を管理する「TFI株式会社」と「ディア四日市」の回答
「補償や今後の対応につきましては、引き続き 検討委員会で事実確認を行い、協議させていただきます」

四日市市は、「財政的にも人員的にも、復旧への取り組みは困難」として、管理会社のひとつ「ディア四日市」が管理する部分を市有化し、公共事業として復旧を進める考えを明らかにしています。
少しずつ、前に進み始めてはいるものの、今も復旧のめどはたっていません。

災害の被害に遭った際、私たちにできることとして、災害に関する問題に詳しい秋野卓生弁護士によると、「誰が補償する場合でも、事故に遭ってしまった直後の写真・動画を残しておくことで適切な補償を受ける可能性が高い」ということです。
(「サン!シャイン」 11月13日放送)
