11月16日投開票される福島市長選挙。選挙の争点をシリーズで伝える。今回は、「福島駅東口の再開発」について。以前から空洞化が指摘されている県都・福島市の中心部。活気取り戻すための道筋をどう示すのか。待ったなしの課題だ。
■懸念される県都の空洞化
福島駅前の中合が閉店してから5年が経った今も、跡地は空き地のまま。再開発事業が注目されるなか、有権者は何を思っているのか。
県都・福島市の玄関口、JR福島駅。官庁や商業施設が集中する東口エリアを中心に懸念されているのが「都市部の空洞化」だ。駅前のランドマークとして親しまれてきた百貨店・中合が2020年に閉店。建物はいまも解体工事が進められている。
市民は「早くしてもらいたいですね。駅前がこんな感じではね、人もどんどん郡山、仙台行っちゃうし、なんか寂しいなと思って」と話す。
■再開発ビルの開業は2029年度
この跡地に新たな駅前のシンボルとして、市が基本設計を示したのが10階建ての複合ビル。カフェとワークスペースを融合させた「シェアラウンジ」やフードホールに加え、大規模な会議を誘致できるコンベンションホールなどを備える。
一方、その計画をめぐっては、新型コロナや資材高騰の影響で、当初は492億円の事業費が膨れ上がり最大で620億円規模に。当初は2026年4月の開業予定も数年遅れていて、2029年度となる見通しだ。
■駅前通りで営む店主の思い
30年以上駅前の目抜き通りで喫茶店を営む齋藤学さんは、年々客足の減少を痛感している。「以前と比べるとお客様の足も遠のいているようには感じますね。今が一番寂しい状況ではあるかと思います。とにかくスピード感を持って取り組んでいただきたいというのが一番の思いですかね」と珈琲グルメの齋藤さんは話す。
靴の専門店とカフェを併設したヴェアクシュタットオオゼキ。店主の大関悠人さんは、2年前に自身の店を構えるという念願を叶えた。再開発ビルの建設が遅れるなか、それぞれの商店の努力が必要になると考えている。「駅前の再開発の施設がないとお店がやっていけない状態ではいけないと思うので、皆様に魅力のあるモノを提供できるようにしていくのが一番だと思います」と大関さんは話す。
にぎわいの再生をどう描くのか、実効性とスピード感を持ってビジョンを示すことが求められている。
■「駅前再開発」候補者の主張
福島テレビが各候補者に行ったアンケート結果から見た「駅前の課題と今後の展開」。
新人の馬場雄基さんは「市の施設と県の施設が重なり合うのが県都の特徴」「改修が見込まれる多くの他の施設の機能を統合し、再整理を目指して計画の磨き直しを行う」としている。
現職の木幡浩さんは「東口再開発は基本設計の姿を示しており、事業費をできる限り抑制し速やかな完成を目指す」「運営母体の選定を進め催事の誘致等を進める」としている。
新人の高橋翔さんは「JRや不動産デベロッパー、民間事業者の投資マネーを呼び込むためにも駅周辺開発における条例を緩和をしながら周知営業の為にトップセールスをかけていく」としている。(※「高」は正式にははしごだか)