築59年を迎え老朽化が進む福井・坂井市の福井空港。定期便の運行がなくなってから49年。県は、この空港を再整備しチャーター便を就航することを目指している。果たして勝算はあるのか、取材した。

中型旅客機が16年ぶりに着陸

福井空港に9月30日、16年ぶりとなる中型旅客機が着陸した。新潟の航空会社トキエアが保有する46人乗り中型プロペラ機ATR42-600だ。新潟空港から福井空港まで40分のフライトは、チャーター便の実現に向けた試験飛行だった。

トキエアのATR42-600
トキエアのATR42-600
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トキエアの長谷川社長は試験飛行を終え「人の交流でお互いの地方都市が活性化につながれば」と期待を込めた。

「全然使われていなくてかわいそう」

5年前に設立されたトキエアは現在、新潟と札幌、名古屋、神戸をつなぐ定期便を運航している。10月には堀江貴文氏が取締役に就任。記者会見では「福井空港とかあるんですよ。かわいそうですよ、全然使われてなくて」と福井空港に言及する場面もあった。

堀江貴文氏
堀江貴文氏

和田共同代表が「我々テストで新潟から福井に飛んだんですよ」と話すと、堀江氏は「立派な空港ですよ。そういうところにぜひ就航してほしい」と応じた。

福井県がトキエアにアプローチ

今回の試験飛行には、県のアプローチがあった。県は福井空港の利用拡大を図るため、新たな取り組みとして福井空港で離着陸可能な航空機によるチャーター便の運航を検討している。

チャーター便の試験飛行
チャーター便の試験飛行

トキエアのATR42-600は、金曜から月曜までは定期便として運航しているが、火曜から木曜までは稼働していない。県はこの未稼働日に福井空港と新潟空港を結ぶチャーター便を運航できないかと考え、試験飛行をオファーした。

低空飛行のため景色を楽しめるフライト

10月30日には、福井県や新潟県の職員、福井空港がある坂井市の地元住民たちを乗せて、再び試験飛行が行われた。

試験飛行の機内
試験飛行の機内

新潟県の幹部は「新潟県としても空港の活性化、ネットワークの拡大による交流の拡大は重大なテーマ。まずは実証飛行ということで第一歩がスタートした。これが着実に進むことを期待している」と見送った。

眼下には富士山も

機長アナウンス:
「当機は、現在16000フィート、およそ4900メートル上空を飛行しています。左手には北アルプスの山々、遠くの方に富士山の山頂も見えております」

景色が楽しめるのも魅力
景色が楽しめるのも魅力

この機体は大型ジェット機よりも低い高度を飛行するため、フライト中は眼下に日本列島がしっかりと見える。景色を楽しめるのも、中型プロペラ機ならではの魅力だ。
搭乗客:
「佐渡島!ばっちりです。これだけ見えたのは初めて」
「羽の横なんですけど、静かですね。こじんまりしていてアットホームでいいと思います。乗りにくさも全くないです」  

新潟-福井で約50分のフライト
新潟-福井で約50分のフライト

約50分後、機体は福井空港に着陸。搭乗した新潟県職員は「一つルートがきれば、それを使って旅行会社と連携しながら取り組みできると思う。1時間くらいで飛行機で来れるのは、お互いにとって魅力的なエリアになるのではないか」と手ごたえを感じている様子だった。

旅行パックの移動手段での活用にも期待

福井県は今後5年程度かけて、福井空港の新たなビルの設計・建設を行う予定。チャーター便就航を見据えると、新空港ビルには保安検査スペースや待合室なども整備が必要となる。

福井空港
福井空港

また、新潟-福井間のチャーター便にどれくらい需要があるのか、その見極めや掘り起こしも課題となる。県は次の段階として新潟県やトキエアと検討を重ねつつ、旅行会社を巻き込んで旅行パックにチャーター便を使ってもらえるようにアプローチしたいとしている。

旅行パックの移動手段としても期待
旅行パックの移動手段としても期待

福井空港のように都道府県が管理する空港は全国に54あります。そのうちトキエアは今年8月に和歌山県の南紀白浜空港と新潟空港を行き来するチャーター便を運航し、新潟と和歌山を観光する旅行パックの移動手段として使われた。福井県が目指すのは、この新潟と和歌山のケースだ。

地方管理空港
地方管理空港

チャーター便は定期便と違ってルートを自由に設定でき、空港と空港との移動手段として使えるなど可能性も広がっている。福井空港でも観光やビジネスの利用にチャーター便の就航が実現できるのか、今後の動向に注目だ。

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福井テレビ
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