富山県八尾町大長谷地区。岐阜県との県境に近いこの地で、自然の恵みをふんだんに取り入れたイタリア料理が楽しめる「村上山荘」がある。シェフの森恵美さんが作るのは、地元の食材を活かした「今ここでしか食べられない」特別なメニューだ。晩秋の今、山の幸を求めて訪れる人々の舌を魅了している。

森の恵みがピザになる

「村上山荘」一番の人気メニューは「ふきのとう味噌のピザ」。また、熊肉を使った「熊のミートソース」も提供している。森恵美さんは「熊はどんぐりとか木の実とかしか食べてないから全く臭くない。脂がまたおいしい」と話す。

晩秋の今の季節、恵美さんの夫・大輔さんは近くの森へ食材を探しに行く。

大輔さんは採れたてのなめこを手に「なめこ。大きい。市販のよりおいしい。天然により近いので」と語る。また「これはくりたけ。くりたけは売ってない、市販は出てないと思う。これをピザにのっけて食べると」と天然のキノコの魅力を説明する。
窯焼きが引き出す自然の旨み

恵美さんは採れたてのキノコを贅沢に使ったピザについて「窯でちょっときのこ焼いた方がうまみも増してすごく凝縮されるから、それを上にトッピングしている。今は、3種類入った。まいたけ、くりたけ、ならたけ。その時にあるもので、日替わりでのせている」と話す。

「大長谷産 天然まいたけとならたけとくりたけ生ハムのせピザ」は3種類のきのこ、それぞれの食感と香りを贅沢に楽しめる逸品だ。この味を求めて、県外からも多くの人が訪れる。



長野県から訪れた客は「キノコの香りが。ここまで来てよかった。長野県に住んでいて、なかなか遠くて来られなくて、やっと今日来られた、念願」と喜びを語った。別の客も「なかなかこんなピザない」と感嘆の声を上げる。
地元の恵みを余すところなく


恵美さんは料理へのこだわりについて「素材の味が多い。天然に育っとるから、味濃いし、その素材の味は生かしたいと思うから、そんなにごちゃごちゃ味付けはしてない。あとはもう、なめこのヌメヌメときのこのヌメヌメを合わせるだけ」と語る。

パスタメニューには、大長谷で採れた「なめこ」と「ならたけ」、さらに、よしな、サツマイモ、じゃがいもなど地元の幸がふんだんに盛り込まれている。
大長谷の自然に魅了され、ここで料理を作り始めて15年になる恵美さん。「自分も自然と共に生きとるという感じはあるから、大変だけどやりがいはある」と語る。

「ここまでわざわざ食べに来てくれて、だからこそ今しか採れんものとか、せっかく採れたものを伝えれたらいいなっていうのはある」という恵美さんの思いが込められた料理の数々。村上山荘で味わえる大長谷の旬をたっぷり盛り込んだメニューは、富山の里山の豊かな恵みを私たちに伝えている。
地域に支えられた食の営み
野菜などは、近所の方が持ってきてくれるものも多く、恵美さんは地域の皆さんに支えてもらっていると話す。1組でも予約があれば、ピザ窯に火を入れるという。訪れる際は予約をしてから出かけるのがおすすめだ。

今年の営業は今月いっぱい、11月30日までとなっている。まさに「今、ここでしか食べられない」富山の里山の恵みを堪能できる貴重な機会だ。
(富山テレビ放送)
