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創業430年以上の歴史を持つ株式会社鮑屋。

長きにわたり市場を支えてきた私たちは、2025年11月14日、小田原に新しい店舗「魚商 小田原崎次郎」をオープンします。


このプロジェクトの背景には、「魚をもっと身近に」「プロの現場をより開かれた形で」という強い想いがありました。

そこで今回は、プロジェクトを率いる代表取締役の市川将史と、現場責任者となる店長・矢嶋寛に話を聞きました。


(左)店長 矢嶋寛  (右)代表取締役 市川将史


「なぜ今、“魚商”という形に挑むのですか?」

市川:

これまで私たちは市場の中で、主にプロの料理人や業者の方へ魚を卸してきました。

ただ、ここ数年で魚の流通の形が大きく変わってきています。

今はクリックひとつで魚が買える時代ですが、便利さと引き換えに、“魚を見て選ぶ”という文化が薄れてしまったように感じるんです。

魚は同じ種類でも一尾ずつ全く違います。

脂ののり、身の締まり、香り——それを見極めるには、現場で魚を“感じる”ことが欠かせません。

でも、そういう機会がどんどん減ってきている。

だからこそ、もう一度“魚を見て仕入れる”という原点を取り戻したいと思いました。

「魚商 小田原崎次郎」は、プロの料理人の方が職人と会話しながら魚を選べる場所です。

市場の喧騒の中で築かれてきた“信頼の仕入れ文化”を、現代の形で再構築したい。

それが今回の挑戦の根っこにあります。



「“プロのための魚屋”とは、どんな姿を目指していますか?」

市川:

ただ魚を売る場所ではなく、“魚を一緒に作り上げる現場”だと思っています。

例えば、料理人の方と「どういう料理に使うのか」「どういう火入れを想定しているのか」を話しながら、最適な魚の選定・〆方・処理方法を提案できる店。


言うなれば、“職人と職人が対話する魚屋”ですね。

私たちは魚のプロであり、料理人の方は調理のプロ。

お互いの知識や感覚を共有し合うことで、魚の価値を最大限に引き出す。

そんな関係性を築ける場所を作りたいと思っています。


そして、これを小田原の地でやる意味も大きいんです。

小田原は江戸の台所を支えた歴史を持つ港町。

ここで築いた文化や人のつながりが、鮑屋を430年以上も支えてくれました。

だからこそ、この土地から新しい魚文化をもう一度発信したいと思っています。



「魚の品質を支えるのが矢嶋店長ですよね。普段どんなことを意識していますか?」

矢嶋:

魚は“生き物”です。

だから、一尾ごとに状態も個性も違う。

その違いを見抜けるかどうかで、味も価値も変わります。


魚を見た瞬間に「今日はどう扱うのが一番良いか」を判断する。

その感覚を磨き続けるのが、魚屋の仕事です。

神経〆のタイミングひとつで、身の弾力も旨味も変わります。

一秒単位で“命の流れ”を読むような仕事ですね。


私がこの仕事を“命のバトンリレー”と呼んでいるのは、まさにその感覚からです。

漁師さんが命を懸けて獲った魚を、私たちが責任を持って仕立て、料理人の手に渡す。

そしてお客様の笑顔へとつながる。

その一連の流れがひとつのリレーなんです。


魚をリスペクトする気持ちを忘れずに、一尾一尾と真剣に向き合う。

その姿勢が、結果的に“おいしい魚”を生むんだと思っています。



「“命のバトンリレー”という言葉、とても印象的です」

矢嶋:

ありがとうございます。

これは私自身、魚を扱ううちに自然と感じるようになった言葉です。

魚を大切に扱うことが、自分たちの誇りにもつながっていますね。



「観光で訪れる方も多い立地ですが、一般のお客様にも楽しんでもらえる仕掛けはありますか?」

市川:

はい。早川漁港のすぐ近くという立地もあり、観光客の方にも気軽に立ち寄っていただけるようなお店にしたいと考えています。

たとえば、私たちが扱う魚醬塩を使った魚醬フライドポテトや、地魚を使った特製フィッシュアンドチップスなど、食べ歩きスタイルのメニューも構想しています。


“プロの現場の空気感”をそのまま一般の方にも体験してもらいたい。

市場の臨場感や魚の香り、職人の所作——そうした空気ごと、鮮魚文化の魅力を感じてもらえたら嬉しいですね。


プロと一般のお客様が同じ空間で魚を囲む。

そんな場ができれば、魚の楽しみ方もきっと広がるはずです。



「最後に、『崎次郎』が目指す未来を教えてください」

市川:

鮑屋は430年以上の間、災害や不況など多くの試練を乗り越えてきました。

そのたびに地域の方々や取引先の皆様に支えられてきたんです。

だからこそ、これからは私たちが“魚を通して地域を元気にする”番だと思っています。

職人と料理人、地元と観光客、魚と人。

そのすべてをつなぐ“海の交差点”のような場所を、

この「魚商 小田原崎次郎」で実現していきたいです。



【編集後記】

430年という歴史を誇る老舗が、あえて原点に戻り、

今の時代に合わせて“魚のあり方”を再定義しようとしている。

その挑戦は、伝統を守ることではなく、命と信頼を未来へつなぐことなのだと、

改めて感じました。


「魚は生きものだから、毎日が違う。だから面白い。」

そんな言葉の通り、鮑屋の挑戦も日々進化しています。

「魚商 小田原崎次郎」、そのオープンが待ち遠しくなりました。







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