このプロジェクトは立ち上げ当初から片岡さんが部長を補佐してきた案件だったので、驚いて外れた理由を聞いたところ、「君も課長になって忙しいだろう」という取って付けたような返答でした。
部長の態度に違和感が…
その頃から片岡さんは、部長の態度になにか違和感のようなものを覚えはじめます。その違和感が決定的なものとなったのが、各部門長が参加する月例の営業企画会議でした。
会議では新規の企画について自由に発表する時間があり、以前、部長の後押しで片岡さん発案のヒット企画が生まれたこともありました。
この会議で、片岡さんが課長昇進以来温めてきた新企画を発表したとき、真っ先に反対したのが部長だったのです。その場で反対の理由を聞いたのですが、「新規性に欠ける」「コスパが良くない」などという曖昧な言葉しか返ってきませんでした。
これまでも部長に反対された企画はありましたが、「こうすればいいんじゃないか」という具体的なアドバイスがあったので、今回は明らかに様子が違いました。
そこで片岡さんが案を引っ込めようとしたとき、部門長A氏が「その企画、面白いよ。次回もう少し詳しく聞かせて」と言い出したのです。A氏の言葉に喜んだ彼は「ありがとうございます!もっと内容を詰めてご相談させてください」と答えました。
しかし、そのとき怒ったような顔つきで片岡さんをじっと睨(にら)む部長の顔に気づき、ハッとしたそうです。
会議の後、片岡さんは部長のところへ行き、事前に相談せずにいきなり新企画を発表したことについて謝罪しました。片岡さんは“部長が反対したのは事前相談しなかったからだ”と考えたからです。
