深刻な人材難など課題も山積

「船の上の基地局」は、能登半島地震で稼働した。

発災5日後から、輪島市の沿岸エリアに通信を提供。当時はNTTグループとKDDIの2社による合同プロジェクトだったが、今ではソフトバンクと楽天モバイルも加わり、携帯大手4社の基地局が運ばれることになった。

普段は競合する各社が、手を取り合った。

しかし、船に積んだ基地局だけで、被災した全域を復旧できるわけではない。

1つの基地局でカバーできる範囲は数キロで、動画の閲覧など容量の大きな通信は想定されていないという課題もある。

携帯大手4社では、車での基地局運用や、避難所へのWi-Fi提供。事務所の共同利用など、さらなる支援に向けた検討を重ねているとしている。

アメリカで開発されている「空飛ぶ基地局」にも、天候などによって電波状況が左右されるという課題があり、解決に向けた技術開発が進められている。

さらに、課題として浮かび上がったのは、災害時に通信網の整備や復旧を担う人材の不足だ。

東京大学大学院・森川博之教授は、「災害時の通信網の整備などは、通信事業者の自己負担に頼る部分が大きく、通信料の『安さ』を各社が競争している状況では、費用が企業経営の重荷になっている」などと指摘。

政府が主導して、災害時の通信確保に向けて、国民全体でどう負担をしていくのか通信料の見直しも含めて制度設計を図る必要性を強調する。

災害時の命綱となる通信。
政府と民間が一丸となった取り組みが早急に必要とされている。

(「イット!」10月22日放送より)

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