全国的にクマの出没や被害が報道される中、クマ肉にも注目が集まり、扱っている長野県飯田市の精肉店には問い合わせが増えている。店は「自然との関係について考える機会になれば」としている。

精肉店に並ぶ「クマ肉」

長野県の南端部に位置し、山々に囲まれた飯田市南信濃。創業68年の精肉店「肉のスズキヤ」の店頭には―。

肉のスズキヤ・鈴木理代表:
「シカもあるし、あとクマも。クマ肉を味付けてるんですが、この商品のクマ肉は若い個体」

初心者におすすめの味付き肉や煮込むとうまみが増すという上質な脂のスライス肉など、クマ肉が販売されていた。

地域では昔からイノシシやシカ、クマなどのジビエを食べる文化があり、店でも商品として扱ってきた。

店は、地域の山で猟師がとった動物を受け入れて食肉に加工している。

イノシシやシカなどのジビエ商品も並ぶ
イノシシやシカなどのジビエ商品も並ぶ
この記事の画像(14枚)

クマ肉は「最高のおもてなし料理」

取材した11月24日も店には、持ち込まれたイノシシと一緒にクマが置かれていた。

クマは、ジビエの中でも特別な存在で、肉はもちろん内臓は薬として、毛皮は道具として余すことなく大切に使われてきた。

肉のスズキヤ・鈴木理代表:
「いわゆる、最高のおもてなし料理です。肉質もそうだし脂の質もそうだし、おいしさもあるし、もたれない。うちの場合は『山獲り』っといって、山でとってくるクマとかイノシシなので、人里とか街に出てきたものではなく、まるきり別物(として販売)」

店に持ち込まれたクマ
店に持ち込まれたクマ

「クマ肉」問い合わせ増加

全国的にクマの出没や被害が報道される中、クマ肉も注目され、問い合わせが増えていいる。

11月24日もクマ肉を買いに来た客がいた。

飯田市内から:
「(クマのニュースで興味を持って?)そうです、そうです。大事にいただきたいと思います」

クマの味付き肉(150g 1700円)
クマの味付き肉(150g 1700円)

クマ目撃相次ぐ「山の管理が重要」

南信濃でも今年は、人里近くでのクマの目撃が相次ぎ、イベントが中止になる影響が出ている。

長く地域の山を見てきた鈴木社長は、現状をどう見ているのか。

肉のスズキヤ・鈴木理代表:
「クマが増えすぎちゃって、山がクマを養いきれないということ。人の住んでいるところに居つくというのは人への警戒心を持ってないわけですから、悪い学習をしてしまいますよね」

肉のスズキヤ・鈴木理代表
肉のスズキヤ・鈴木理代表

鈴木社長は、人里への出没を減らすには猟に関わる人材の育成や、山の管理が重要だと考えていて、客にも伝えるようにしている。

神奈川から:
「やっぱり山が育んでいるものだからありがたいなって思うし、いい関係性を、食べることによって持てたらいいなって思います」

肉のスズキヤ・鈴木理代表:
「山の恵みとして、こんなに仕上がったクマ肉なんですから食べてみませんかと。そういうことを考えてもらってもいいのでは」

飯田市南信濃
飯田市南信濃
この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(14枚)
長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。