マッチングアプリで出会い、真剣交際をしていた彼が、実は妻子持ちの“既婚者”だった―――。
女性は、相手が独身で、交際相手もいないと確認をし、デートを重ねた。ところが4カ月後、突然連絡を絶たれ、調査をすると既婚の事実が判明。“独身偽装”による交際が「貞操権の侵害」に当たるとして、女性は交際相手だった男性を相手取り、損害賠償として約782万円の支払いを求めて提訴した。

「独身」偽り関係を持つ

きっかけは2023年5月、原告の女性と被告の男性はマッチングアプリを通じて知り合った。

アプリのサイトには、「18歳未満の方や独身でない方はご登録いただけません」との旨が記載されている。

原告の女性はプロフィールに「真面目なお付き合い」「既婚者、彼女持ちお断り」などと明記。不倫関係を拒絶し、真剣交際を希望していた。

一方、被告男性は2016年に結婚し、2人の子どもがいる既婚者だが、このアプリに登録していた。被告は、結婚しているにもかかわらず、独身で交際相手もいないと身分を偽っていた。

被告の男性はアプリを通じて原告女性に接触し、2人のやり取りが始まった。

女性からは、「基本的に初対面の方とセックスしたことはないのとワンナイトで終わったこともないのでそっちがご希望だったら時間の無駄かもしれません」「ちゃんと真面目なお付き合いを見据えてって書いてますからね」「私が最も嫌いとするのは都合の良い不倫相手にされること」などのメッセージを送信していた。

被告男性からは、「こうやって会ってもないのに会話できてて、見た目も超好みだった上で会うなら残すはフィーリングだけなので個人的には超安心して会えるんですよね」などとメッセージを送っていた。

2人はアプリでほぼ毎日連絡を取り合った後、対面で食事をし、宿泊して初めて関係を持った。

その後も、箱根や江の島などの観光地でデートし、地方都市に3泊4日の旅行をするなど、逢瀬を繰り返し、多数の性行為を伴う交際関係が続いた。また、避妊せず性行為に及んだ事も複数回あった。

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その間、原告女性は被告の男性に結婚歴や子どもの存在について聞いたが、「びっくりするぐらい何もないよ」などと否定していたという。

身辺調査で既婚と発覚…

しかし、初めて関係を持ってから約4カ月後の10月、事態が動く。

被告の妻が、2人が交際関係にあったことを知り、追及したところ被告はその事実を認めたのだ。被告は同日中に、LINEなどで原告女性のアカウントをブロックした。

連絡手段を絶たれた原告女性は、探偵に被告男性の身辺調査を依頼。その結果、被告の住所を突き止めると同時に、妻子がいることが発覚。自分がだまされていたことを知ったのだ。

原告女性は、“独身偽装”で貞操権を侵害されたとして、慰謝料と、被告が既婚者だと明らかになってから発症した適応障害の治療費など、計約782万円の損害賠償を求めて提訴した。