宮城県知事選(10/26投開票)に6期目を目指して立候補した村井嘉浩氏(65)に単独インタビュー
産業の成長を福祉へと還元する「持続可能な県政」を掲げる村井氏。
【後編】では、水道事業・病院再編の評価、外国人材の受け入れ方針、そしてAIを活用した選挙戦の試みについて聞いた。
ハイライト(要点)
・県内総生産10兆円:言い訳のきかない目標として掲げ、産業構造の転換で実現を目指す
・みやぎ型水道事業:県が所有と責任を持ち、民間の効率性を活かしてコスト抑制を図る
・4病院再編:救急搬送の偏りを是正し、全体最適を実現する構想を完結させたい
・外国人材:政府間協定を通じて教育・質を担保し、多文化共生を進める
・土葬墓地整備:再検討は「100%ない」と明言
・AI選挙:過去の発言データを学習させ、質問傾向を政策に反映させる取り組み
Q. 「県内総生産10兆円」という目標を掲げてきた理由は?
誰も言い訳できない、一番わかりやすい指標だからです。掲げた当時は「絶対に無理だ」と言われましたが、産業構造の転換で確実に近づいてきました。税収も2000億円台から3000億円規模へと伸び、福祉や教育に力を割けるようになっています。
Q. 女性の県外流出をどう防ぎますか?
女性が働きたいと思う職場を増やすことが大事です。化粧品や情報関連など、女性が活躍できる業種の進出にアプローチして、定着を促したいと考えています。
Q. 「みやぎ型管理運営方式(水道)」について改めて聞かせてください。
所有と最終責任は県が持ち続け、そのうえで運営に民間の裁量を取り入れました。薬品の大量購入や監視拠点の集約、機器更新の前倒しなどで効率化を図り、県の負担を抑えています。
水道料金の上昇を緩やかにできる効果もあり、議会・県民にも丁寧に説明を続けています。
Q. 4病院再編を進める上で今後は?
病院が仙台中心部に偏り、稼働率が7割程度にとどまっていました。一方で黒川郡や沿岸南部では救急搬送が遅れ、命に関わるケースもあります。病院を分散し、全体として助かる命を増やすことが目的です。
説明不足との指摘は真摯に受け止め、丁寧に対話を重ねながら責任を持って完結させます。
Q. 外国人材の受け入れをどう進めますか?
現場ではすでに外国人の力が欠かせません。民間ブローカーを介さず、インドネシアやベトナムなど政府間の協定で教育・技能を担保しながら受け入れます。
大崎市では外国人が地域行事や清掃活動に参加するなど、共生の動きも広がっています。2026年に在留カードとマイナンバーが一体化すれば、デジタル身分証アプリで支援情報を双方向に届けられるようになります。
Q. 土葬墓地の整備方針を撤回しました。再検討の可能性はありますか。
100%ありません。市町村長が難しいと判断しており、再検討することはないと考えています。
Q. 選挙戦でAIを活用する狙いは?
これまでの会見や発言録、著書など20年分のデータを学習させた「AIむらい」を使い、YouTubeで県民の質問に自動で答える仕組みを試ます。
どんな質問が多いか、県民の関心を可視化することで、次の政策づくりに生かしたいと思います。
Q. 「まいた種を花咲かせる」と語っていますね。
4病院再編と半導体誘致を形にすることがまず第一歩です。そのうえで、1万人規模の「ローコスト・アリーナ」構想にも挑戦したいと考えています。
東北に大型ライブの受け皿を作ることで、観光や宿泊と結びつけ、経済をさらに循環させていきたいと思います。
プロフィール
氏名:村井 嘉浩(むらい よしひろ)/65歳
経歴:大阪府出身。県議を経て知事現職(2005年初当選)
※肩書・経歴は取材時点。インタビュー収録日:2025年10月6日
編集注
・本文は候補者の見解であり、数値・評価は本人主張に基づきます。
・語句や表現は意味を損なわない範囲で整文しました。
・公平性のため、全候補を同フォーマット・近似文字量で掲載します。