天皇皇后両陛下の長女・愛子さまは、11月17日から22日までラオスを訪問されました。愛子さまにとって、初めての外国公式訪問。滞在中、国家主席を表敬訪問したほか、伝統行事に参加するなどラオスの歴史や伝統文化に触れ、多くの人たちと交流されました。
入念な準備で臨まれたラオス訪問
今年、日本との国交樹立70周年を迎えたラオス。インドシナ半島の内陸に位置する社会主義国で、日本との関係も深い親日国です。
最初に訪れた首都・ビエンチャンの凱旋門で、市民らの歓迎に応えられた愛子さま。
初めての海外公務に向け、13年前にラオスを訪問されている陛下から話を聞くなどして、入念に準備されたといいます。
ラオスのシンボルにもなっている格式高い仏塔「タートルアン」。
黄金の仏塔を訪問した愛子さまは、ラオスの民族衣装に着替えられていました。国家主席夫人から贈られたもので、花の図柄が描かれています。
仏像の前に座ると花かごを供え、ろうそくに火を灯し、手を合わせられました。
参拝後には、ラオス側に勧められ記念撮影。最初はお一人でしたが、愛子さまが声を掛けられ、みんなで一緒に撮影する場面も。愛子さまの気遣いに関係者は大喜びでした。
続いて、トンルン国家主席を表敬訪問し、「この度、日本とラオスの外交関係樹立70周年のこの年にラオスを訪問することができましたことを大変ありがたく思っております」と述べられました。
この日の夜、歓迎晩さん会に出席された愛子さま。晩さん会に先立ち、ラオスの伝統儀式「バーシー」に参加されました。
健康と幸せを祈り、愛子さまの左手首に巻きつけられた白い糸。この糸は、帰国までつけられたままでした。
初めて晩さん会のスピーチに臨まれた愛子さま。直前まで何度も推敲を重ねられたといいます。
冒頭「サバイディー(こんばんは)」とラオス語で挨拶した後、「私たち若い世代が先人たちの歩みを受け継ぎ、両国の懸け橋となって、ラオスのチャンパーや日本の桜のように、美しい花を咲かせていくことができればと思います」と述べられました。
そして「コー・コープ・チャイ・ラーイ、ニョック・チョーク(どうもありがとうございました。乾杯いたしましょう)」と一生懸命練習したというラオス語で乾杯の挨拶をし、笑顔を見せられました。
日本アニメ人気に「皆さんに親しまれてうれしい」
滞在3日目、愛子さまは、ビエンチャン中高一貫校を視察されました。この学校では、日本から派遣されたスタッフが日本語や日本文化の授業を支援しています。
日本語の授業をご覧になった後、生徒たちと交流し「どのようなアニメが好きなんですか?」とご質問。男子生徒が『ONE PIECE』『NARUTO』と答えると「日本でも『NARUTO』や『ONE PIECE』、とても人気があって海外でも人気で、皆さんに親しまれてとてもうれしいです」と話されました。
『福笑い』を使って、目や口など顔のパーツの名前を学ぶ授業に「すごいアイデアだと思います」と感心された愛子さま。
生徒が描いたデッサン画をプレゼントされ「大切にしたいです」と喜んでいらっしゃいました。
日本の援助で平成21年に建てられた「日・ラオス武道センター」では、剣道や空手、合気道など日本の武道を教えています。
ラオスの人々が披露した演武に拍手を送った愛子さまは、選手の代表や、柔道を指導しているJICAの海外協力隊員らを労われました。
不発弾の被害に心痛められる
愛子さまは、不発弾の被害を伝える施設「COPEビジターセンター」にも足を運ばれました。ベトナム戦争でアメリカ軍の激しい空爆を受けたラオス。今も約8000万発の不発弾が、残っているといいます。
深刻な被害の実態について説明を受け「不発弾処理はどのような点が難しいですか?」などと質問された愛子さま。「将来、ラオスから不発弾がなくなることを願っております」と述べられました。
陛下のラオス訪問にも触れられたスピーチ
愛子さまは、滞在4日目、ラオス北部にある世界遺産の古都・ルアンパバーンを訪問されました。
旧王家の菩提寺として建てられた「シェントーン寺院」で、愛子さまはナーガ(蛇の神)が描かれた民族衣装に身を包み、黄金の仏像などをご覧に。
「大変立派な仏像で、心が洗われるような気持ちがいたします」と話されました。
この日催された昼食会のスピーチでは、13年前の陛下のラオスご訪問にも触れ、陛下から美味しいと聞いていた地元の伝統料理も堪能されました。
《昼食会での愛子さまのスピーチ》
私の父は、2012年にラオスを訪問した際、メコン川沿いに発展したルアンパバーンの長い歴史の中で形作られてきた伝統や文化、そして人々の優しさに心を動かされたと聞いております。私も、父を始め、皇室の方々の歩みを受け継ぎ、日本とラオスとの懸け橋の一端を担うことができれば幸いに存じます。
続いて視察されたのは、日本のNPOが運営するラオ・フレンズ小児病院。24時間体制で子どもたちを受け入れています。
愛子さまは、やけどで入院している1歳2カ月の子どもと母親に「痛かったですね」「入院はいつから」などと優しく声を掛けられました。
初めての機織り体験で「日が暮れちゃう…」
滞在最終日、ラオス伝統の絹織物の展示施設「ラオ・シルク・レジデンス」を訪れ、初めて機織りを体験されました。
最初は恐る恐るだったのが、徐々にコツをつかみ「楽しいです」と作業を行われた愛子さま。説明役から「好きなだけ織っていただいて…」と声を掛けられると「日が暮れちゃう…」と話されました。また現地の人から「すごく習得が早くて筋が良くていらっしゃる」と褒められると、笑顔で「コープ・チャイ(ありがとうございます)」と笑顔を見せられました。
6日間の日程で行われた初めての公式訪問でラオスの歴史や伝統文化に触れ、多くの人たちと交流された愛子さま。若い世代が懸け橋となり、日本とラオスの絆がさらに深まることを願われました。
(「皇室ご一家」11月30日放送)
