デジタルの力を活用して拠点病院と地域のクリニックの連携を深める取り組みが富山市で始まっています。
スマートフォン1つで行うその取り組みとは?
*富山市民病院呼吸器外科 土岐善紀医師
「手術の依頼があった患者、術後の検査データの一部を送信し共有している」
医師が手にするスマホ。
そこには、病院を超えて地域内の医療者間で診療データを共有できるコミュニケーションアプリが入っています。
このアプリ「Join」は、MRIやCTなどの画像データも共有でき、セキュリティ面も強化されています。
富山市民病院では3年前からこのアプリを導入し、院内の診療科をまたいだ患者情報の共有や地域のクリニックとの連携などに役立てられています。
*富山市民病院呼吸器外科 土岐善紀医師
「(入院患者が)急変、状況が悪化したときに病棟の看護師が患者の心電図モニターなどのデータを循環器内科の主治医に連絡できる。今まで電話だとそれができなかったり、うまく伝わらなかったりした。より正確な(患者の)病状把握につながる」
また、富山市民病院では救急の当直医師が専門外の患者を診る際、専門の医師に相談するのにもこのアプリが使われています。
検査データや画像の所見、状態などをリアルタイムで共有することにより、専門医が自宅や外出先から緊急性の有無を判断し、的確な治療を進めることができます。
*富山市民病院呼吸器外科 土岐善紀医師
「すぐに医師が行かないといけない場合でも、病院に行くまでの2、30分の間にこういった準備をしてほしいと伝えておくと患者の診療に時間差が出ない。その数十分や数時間のことが治療経過に大きく影響を与える疾患もあるので」
さらにアプリの大きく力を発揮するのが地域の医療連携です。
診療の相談や手術の依頼もこのアプリを通じて専門医にでき、患者の状態も共有できます。
現在、市民病院では内科や整形外科、歯科など30の地域のクリニックと連携しています。
その1つ、今年2月に開業した「ふじのき内科クリニック」です。
*ふじのき内科クリニック 三輪敏郎院長
「専門外の疾患で迷うことがある。(市民病院に)紹介して(患者を)送っていいものか、非常に迷う。そういうこともJoin(アプリ)で専門医に教えてもらえるので、すごく助かっている」
初期のがん患者の入院相談をしたときは...。
*ふじのき内科クリニック 三輪敏郎院長
「こういう術式で(手術をすると)説明できるので、患者も安心して受診できる。かかりつけ医が急性期病院の専門医のとつながりがあるのは、患者にとっても安心材料になると思う」
*富山市民病院呼吸器外科 土岐善紀医師
「デジタルツールで安全性が担保されたものを利用していくことは、地域の安全安心、富山の医療圏全体で患者を支えることが、市民の大きな安心感につながる」