山口県の離島・笠佐島で、中国人が取得した土地をめぐり不安の声が広がっている。
地元では「島を守る会」まで発足したが、土地を販売した不動産業者はテレビ新広島の独自取材に対し「騒ぎになる理由がわからない」と訴える。
住民がクラファンで土地を買い戻す?
山口県の周防大島から船で約10分。瀬戸内海に浮かぶ小さな島・笠佐島では、2017年に島の南側の土地約3700平方メートルが中国・上海在住の男性らに売却された。建物が建たないまま8年が経ち、住民の間に不安が広がっている。

笠佐島を守る会の代表・八木秀也さんは語る。
「一番心配なのは乱開発されること。何に使うのか説明がないのが不安です」
住民たちは「笠佐島を守る会」を立ち上げ、クラウドファンディングで資金を募り、土地の買い戻しを目指しているという。

そんな中、テレビ新広島の取材に応じたのは、この土地を中国人実業家に販売した不動産業者の男性である。
「これまで採石場やベトナム・イスラエルから買い手の話もあったが断ってきた。外国人に売ったのは今回が初めてです」
この男性は周防大島に200棟以上の別荘を建てた実績を持ち、自然を大切にしたリゾート地に発展させたいと笠佐島にも土地を多く所有している。
親日家の別荘計画、進まない理由とは
男性によると、購入者の中国人実業家は日本企業3社に勤めた経験を持つ親日家。本人に会うため上海まで足を運び、意向などを確認したという。
さらに、外国人への土地販売に関する法律も調べたうえで慎重に判断して販売した。

男性は設計図面を公開し、建築計画が実在することを強調。
「土地だけ売ったのではありません。家族で滞在するための“別荘の注文住宅”として契約しました。山口県内の業者が2棟建てる予定で、どちらも500坪の土地に76平方メートルの平屋です。2020年3月には建築確認も取れています」
では、なぜ今も着工が進んでいないのか。
「電力会社に申請し、電気を引く工事が終わってから動き出す予定でした」

離島という事情から、土地整備に使う重機を島内に置いたままに…。それがいつしか住民にとっての“不安の象徴”になってしまった。
一方で、騒動以降、男性のもとには誹謗中傷の電話やメールが相次いでいる。
男性は「盛り土や切り土も一切していません。外国人と土地や建物を売買する法整備を急いでほしい」と訴える。
地域に根ざす暮らしと、外からの変化。その狭間で揺れる離島が“外国人との共生”のあり方を静かに問いかけている。
(テレビ新広島)