過去に自身が求められてきた働き方や、上司から受けたマネジメント手法を吟味せずそのまま踏襲してしまうことがあり、時代感覚や周囲の認識とのズレがハラスメントとして表れることがあります。

そのズレがジェンダーや年齢に対する偏見につながる可能性がありますが、本人にとっては過去の自分の成功体験が根拠になっているので、そのリスクに気づきにくい傾向があります。

【典型的な行動例】
▼自分の好むワークスタイルやコミュニケーションのみを「良いもの」とし、その他のやり方を認めない。
▼相手に合わせて指導法や言葉がけの仕方を変えられない。
▼理解できないものを「今どきの若者」「今どきのやり方」などと評価する。

20代男性会社員からの相談

■ケース:
社内文化が絶対であると誤認し、仕事のやり方を変えられない上司

■相談:
私の所属している営業部は、退勤後の遅い時間でも平気でメールが飛んできます。翌日まで放置していいならいいのですが、ときどき急ぎの案件もあり、すべて開封して「読んだ」ことは返信する「文化」になっています。

先日、友人との予定があってメールの確認ができなかったことがありました。その夜もクライアントへの対応依頼があったようで、翌朝確認すると、私の代わりに課長が深夜に対応していたとわかりました。そこで課長にお礼を伝えたところ、「メールも見られないなんて社会人失格ではないか」「仕事に対する責任感がない。常識に欠ける」と厳しく叱責されました。

でも正直なところ、その案件は半日対応が遅れた程度で問題が大きくなるものではありません。こんな仕事のやり方をいつまで続けなければならないのでしょうか。 ユウト(20代・男性)

社内からあがった疑問の声

ユウトさんが勤めている会社は輸入商品を扱う化粧品卸で、社員数は50名程度です。海外取り引きを行う部署もあるため、所定労働時間外の社内メールの送受信を一律で禁止することはしていません。

しかし、昨今のコンプライアンス意識の高まりもあり、ユウトさんのように社内風土に疑問を持つ社員も増えてきました。