記者が旅行から帰ってくると、借りていた駐車場に無断で車が止まっていた。夜だったため管理会社ともつながらず、だからといって警察に連絡してもいいのか迷ったという。こんな時には、どう対処すれば良いのだろうか?記者がこの経験をきっかけに取材したところ、路上駐車をめぐる警察の取り組みや、地域住民が協力する画期的な仕組みが見えてきた。

無断駐車されたのは、テレビ宮崎の森山裕香子記者。今年、旅行から戻ったところ、自分が借りている駐車場に車が無断で注射されていたという。この時、「夜だから管理会社とは電話が繋がらない」「だからといって警察に連絡していいものなのか」と迷ったという。
路上駐車の検挙数は10年で6分の1に

無断駐車や路上駐車に関する110番通報。宮崎県内では400件前後で推移していたが、2023年度に約500件。2024年度には590件に上り、過去10年間で最多となった。

一方で、県内の「放置駐車違反」の検挙件数は、過去10年間で約6分の1にまで減少している。この背景には、約20年前に始まった警察のある取り組みがあった。
駐車監視員制度がもたらした変化
路上駐車する車に目を光らせるのは、「駐車監視員」と呼ばれる人。

2006年の改正道路交通法で始まった駐車監視員制度は、警察からの委託を受けた監視員が、放置車両の確認と標章の取り付けを行うものだ。

ある日の活動に同行取材すると、開始直後に放置車両を発見。駐車監視員は、写真撮影や駐車禁止の標識からの距離を測って「駐車違反」の標章の取り付けを行うが、途中で運転手が戻ってきたため、今回は口頭注意で終わった。

監視員は「車通りの少ない狭い道路で停まっている車が多かったり、交差点が非常に多い」と、現場の実情を語る。路上での違反駐車は、誰かに迷惑をかけるだけではない。時として重大な事故につながることもある。

宮崎県警 交通指導課 米澤秀紀理事官:
県内でも、駐車車両のかげから歩行者や自転車が飛び出してきて、車とぶつかってしまう事故が起きている。また、交差点付近で(駐車車両が)死角になって、出会い頭で車同士がぶつかってしまう事故もたくさん発生している。
住民同士が協力「花の森パーキング」
路上駐車は、宮崎市中心部の道路だけでなく、住宅街でも多く見られる。そうした中、宮崎市東宮2丁目の花の森自治会(加入371世帯)では、住民が協力して路上駐車を減らす取り組みが3年前から行われている。

その名も「花の森パーキング」だ。

花の森自治会 米原仁美さん:
駐車場のスペースが空いている家と、来客や工事車両などで、どうしても駐車スペースが必要になった方とのマッチングをするようなシステムになっている。

利用方法は、駐車場を借りたい人が管理人である自治会の役員に日時と台数を連絡。管理人が貸し出し可能な住民に連絡を取り、確認が取れれば利用が許可される。

防犯上の観点から、利用者は自分の車を借りた駐車場に停め、来客用車両などを自宅の駐車場に停めるルールとなっている。

料金は3時間100円、1日最大300円で、収入は自治会と駐車場を貸し出す人で折半する。これまでに48件の利用があったという。この取り組みが始まった背景には、住民の家族構成の変化があった。
花の森自治会 米原仁美さん:
以前は、小学生や子供たちがいっぱいだったが、だんだん成長してきて、車に乗られるようになって、駐車スペースが足りなくて、路上駐車をするお宅なども見受けられるようになった。自治会としては、皆さんの困ったところを、どうにかして改善していければと思っているので、そのひとつが花の森パーキング。
駐車場シェアサービスは全国に

全国に目を移すと、空いている駐車場に着目したビジネスもある。大阪のakippaでは、2014年に、アプリで駐車場を貸し出したり借りたりできる予約サービスを立ち上げた。宮崎県内でも約100件の駐車場が貸し出されており、累計で6500回以上利用されたという。

akippa 森村優香さん:
宮崎空港の近くにある駐車場だったり、プロ野球のキャンプ場の近くで貸し出されている人がいたりする。
無断駐車された場合はどう対処すれば?
実際に無断駐車をされて、迷惑をこうむった場合はどう対処すればいいのだろうか?まず、「公道への路上駐車」と「私有地への無断駐車」では対処法が異なるため注意が必要だ。公道の場合は警察に連絡する。

一方、自分が借りている駐車場などに無断駐車された場合はどうすればいいのだろうか。弁護士法人きさらぎの高山桂弁護士によると、まず「車のナンバーを撮影」し、「管理会社やオーナーに連絡」して対応を依頼するのが手順となる。それでも長期間、車が動かない場合には、「弁護士に相談」してほしいとの事だ。
路上駐車という身近な問題を、単なる「困りごと」で終わらせず、新たなサービスや地域の仕組みによって解決しようとする動きは、他の社会課題を解決する上でのヒントとなりそうだ。
(テレビ宮崎)