台風に異変が起きています。今年発生した台風の発生場所をみると、日本に近い海で発生しています。理由は2つ、偏西風の北上と海面水温の上昇です。さらに台風シーズンは10月まで続く込み。村田気象予報士が解説します。
 

◆日本近海で台風が発生する2つの理由

今年発生した台風の発生場所を見ていくと、特に10号、12号、15号は日本の近海で発生しています。
 
理由は2つ、「偏西風の北上」と「海面水温が高い」ことです。
 
まず1つ目の「偏西風の北上」について―
今年は、平年に比べ偏西風が北に移動しています。偏西風を境に北は冷たい空気、南は暖かい空気があります。平年通り偏西風が南にあれば、冷たい空気によって台風の発生が妨げられるのですが、偏西風が北上しているため暖かい空気で覆われ、日本の近くで台風が発生しているのです。偏西風は、この先も北を流れやすいため、台風が発生しやすいです。


2つ目の「海面水温が高いこと」について―

9月30日の日本近海の海面水温をみると、平年より2~3度高く30度以上になっています。一般的に、台風は海面水温が26度以上の海で発生します。
 
まさに日本のすぐ南で台風が発生しやすい状況です。これは、温暖化と今年の猛暑が要因です。海水温が高い状態は、今後もしばらく続きそうです。


◆秋雨前線+台風で大雨に

1日の気象衛星画像では、日本の南の海上に熱帯低気圧が発生しています。台風の卵です。今のところ、大陸に進みそうですが、北上すると海水温が高いため衰えることがなく、発達しながら日本に接近する可能性もあります。
 
10月も台風シーズンが続くため、秋雨前線とタイミングが合うと警戒が必要です。過去にも、10月に台風と秋雨前線で大雨になったことがあります。
 
2017年10月22日から23日にかけて、超大型で強い勢力の台風21号が静岡県に上陸。台風の北上に伴い、停滞する秋雨前線の活動が活発となり県内各地で大雨となりました。
 
鯖江市では、神通川の堤防が決壊し、吉川地区や豊地区など広い範囲で浸水被害が発生しました。秋雨前線が停滞しているところに台風が北上し、県内は台風が上陸する前から大雨になったのです。
 
10月は、台風だけでなく前線の影響による大雨にも警戒が必要です。台風、大雨への備えを確認しておきましょう。

福井テレビ
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