2025年の夏は観測史上初の記録的な暑さとなりました。

京都では歴代最多となる61日目の猛暑日を記録。さらに最低気温が25℃以上の熱帯夜も60日を超え、猛暑日と合わせて史上初の「60-60」を達成しました。

この記録的な暑さは、私たちの生活だけでなく、様々な業界にも大きな影響を与えていました。

特に影響を受けたのが「パン屋」さんと「クリーニング店」。

一方で、暑さのおかげで思わぬ売上増を記録したのが「漬物店」でした。

■猛暑で“パン屋さん”が悲鳴「売上2割減」

まず訪れたのは、神戸市垂水区にある「ブーランジュリーシャルム」。

今年でオープン5周年を迎えたこの“パン屋”さんでは、サツマイモや栗、きのこなど旬の食材を使ったパンなど、およそ60種類ものラインナップを誇ります。

店主の木村さんによると、「元々夏場はパン業界全体が売り上げが下がってしまう傾向にあるんですけど、今年は特に暑い時期も早かったし、温度も高かったんで特に厳しかったですね」とのこと。

今年の猛暑では、例年よりさっぱりした食べ物が好まれるため、夏場のパンの売り上げが去年よりさらに2割も下がってしまったそうです。

1日に約400個製造するパンのうち、売れる数が70〜80個も減少したことになります。

■涙ぐましい対策で売上減に抵抗

しかし店主の木村さんは、この猛暑でも売上が下がらないよう、さまざまな工夫をしていました。

近所のジェラート屋さんとコラボした「パンデジェラート」を販売。これが猛暑のおかげでよく売れ、2カ月半の間におよそ200個、合計で5万4000円の売り上げになったそうです。

さらに子供向けに水族館にいる生き物をかたどった「水族パン」を開発。これもヒットして1カ月で12万円の売り上げになりました。

また、「パンフォーユー」というパンのサブスクリプションサービスにも加入。月額3,990円で毎月8個前後の冷凍パンが届くこのサービスのおかげで、夏の7〜8月だけで14〜15万円分のパンを作ることができたといいます。

木村さんは「もしこういった対策していなかったら、4割から5割ぐらいはしんどいかなという感じですね」と語り、「暑さはどうにもできないんで、できることをやっていこうと思います」と前向きな姿勢を見せていました。

■クリーニング店も悲鳴「季節の変わり目が消えた」

大阪市住吉区で50年続く町のクリーニング屋さんでも、同様に売上の減少に悩まされていました。

代表の益田さんによると、あまりの暑さに家庭で洗濯できるものを着る機会が増え、クリーニングに出すような品物が少なくなっているといいます。

また、今年の近畿地方では観測史上初めて6月中に梅雨明けを迎えました。例年より夏服を着る期間が伸びて、あおりを受けたと言います。

「昔は四季がちゃんと分かれていたじゃないですか。その季節の変わり目、変わり目に、やはりクリーニングで出るんですよね。でも冬が終わったら急に夏みたいになってしまうと、出すタイミングとか着ているものの種類が変わってしまうので」と益田さんは説明します。

作業場も例年より洋服が少なく、クリーニングの機械の前にはがらんとした空間が広がっていました。

「このままずっと季節が変わらなかったら、商売のやり方も考えていかないとダメかな」と益田さんは今後の対策の必要性を感じていました。

■猛暑の意外な勝ち組は“漬物屋さん”

一方、今年の猛暑で意外にも売上を伸ばした業種もありました。

それは兵庫県明石市で77年の歴史を誇る「畠田漬物店」です。

4代目の森口さんによると、今年の猛暑でキュウリのぬか漬けがびっくりするほど売れたといいます。

「ぬか漬けだけでいうと例年の4倍ぐらい売れた」そうで、売上も「7〜80万円ぐらい全体的にサクッと上がっている」とのこと。

浅漬けよりも少し塩分が高いぬか漬けが特によく売れ、去年の夏に比べて全体の売上も10%アップしたそうです。

常連のお客さんからも「暑かったからじゃない?」「お漬物とかでさっぱりお酒飲んだりしたくなりますね夏は。塩分補給にお漬物」といった声が聞かれました。

■漬物店主「正直びっくりしてますね」

「ぬかは発酵食品で腸にいいし、まだまだ暑い日が続くから、みんなでお漬物食べて元気出して頑張ろう!」と常連客は笑顔で話していました。

「今年の夏こんな伸びるというのは想像ついてました?」という質問に、森口さんは「いや正直そこまでは思ってなかったですね。やっぱりお客さんに感謝しかないですね本当に。正直びっくりしてますね」と笑顔で答えました。

(関西テレビ「newsランナー」2025年9月26日放送)

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