もちろん金銭面でも、負担が発生する。
「動物病院によって異なりますが、診察から手術、生活環境の準備費用だけでも、1匹につき5~10万くらいかかると考えていただきたいです。さらに毎月の食事代、定期健診代なども考えなければいけません。自身の生活に加えて、養える経済力があるかどうかは重要です」
先住猫や幼い子供がいるなら注意
また、家に先住猫がいる場合、保護猫の迎え方には細心の注意が必要だと、田口先生。

「何より守らなければいけないのは先住猫です。感染症予防のワクチンやノミ駆除剤などをしていない先住猫がいる場合、保護猫から感染症をもらってしまう可能性があります」
先住猫と同様、気を付けなければいけないのが、人間の幼い子供だ。
「幼い子供は成人と比べて免疫力が低いため、保護猫が感染症を持っていると危険です。そういうご家庭は、猫の保護を慎重に考えましょう。保護する場合は、子供が近づかないように部屋を分けて隔離してください。感染症の有無は確定するまで時間がかかるため、しばらくは子供が猫にいたずらをしないよう、見守りを徹底しましょう」
行き場のなさそうな猫がいると助けたくなるが、保護は決して簡単ではない。猫目線で幸せにできるのか、ひとつの命と向きあえるのか。慎重に考えることが大切だ。
取材・文=内山直弥