鳥取大学附属病院であった国の補助金の不正流用問題で、問題発覚の端緒となる内部通報をした女性職員がその後、大学側から数々のパワハラを受けたとして大学を訴えた裁判。9月25日に一つの判断が下されました。
鳥取地裁米子支部は、原告の訴えの一部を認め、大学側に50万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
鳥大付属病院での補助金不正流用問題は、2016年に発覚。
国から受けた補助金のうち約7600万円を本来の目的とは違う不適切な使用をしていたことが明らかになったものです。
この問題発覚の端緒となったのが病院内部からの通報で、当時、産官学連携コーディネーターとして勤務していた女性が内部通報者でした。
しかし女性はその後、上司から膨大な仕事を押しつけられたり、激しい叱責を受けるなど合わせて10件のパワハラを受けた上、賃金の未払いにもあったとして、2019年に鳥取地裁米子支部に訴えを起こし、大学に対し慰謝料500万円と未払い賃金の支払いを求めていました。
未払い賃金については、大学からの支払いで2023年に和解した一方、パワハラに対しては引き続き争っていました。
25日に開かれた法廷で、鳥取地裁米子支部の三島琢裁判長は、原告が訴えた10件のパワハラ行為のうち5件をパワハラと認め、大学側に50万円の支払いを命ずる判決を言い渡しました。
この裁判について原告側は、判決後に記者会見を開き、今の心境を明らかにしました。
原告の女性:
私にとっては残念な判決でした。鳥取大学の誠実さを問いたい、これを聞いている事務方にどういうふうに組織を改善していけるかを考えていただきたい。
原告の女性は、公益通報者を守るためにも制度的な問題を提起したいとし、控訴を検討するということです。