太陽や風など自然の力を生かしながら、CO2の削減にも取り組むエコな塩づくりに迫りました。
オーストラリア西部に位置する世界自然遺産「シャークベイ」。
この広大な海と自然の力を活用した塩づくり、実は日本の企業が手掛けています。
24日、茨城県の神栖市にある「シャークベイソルト」の加工拠点が報道陣に初めて公開されました。
この塩の事業を50年以上手がけてきたのが、大手総合商社の三井物産です。
三井物産 塩事業室長・岡村裕子さん:
日本の塩の市場は800万トン程度の年間需要があり、シャークベイの2塩田の生産量は400万トンで約半分。
国内需要の約2割程度、年間160万トンが日本に運ばれてくるというシャークベイソルト。
最大の特徴は、環境負荷の低い製法です。
原料となる世界遺産の海水は、潮の満ち引きによって陸地へ引き込み、そこから太陽や風の力を借りて乾燥させ濃縮。
じっくりと結晶化させるまで3年ほどかかるといいます。
二酸化炭素の排出量を国内の一般的な製法と比べてみても、石炭を使った塩づくりの約150分の1。
輸送時の排出量を含めても、約15分の1にまで抑えられるといいます。
長い年月により、手塩にかけてつくられる自然由来の“エコな塩”。
味について、しょうゆの製造会社の担当者も「最初に甘みがきて、後味もすっきりしている」「口溶けがすごく優しくて、ほのかなやわらかい塩味のあとに甘みとうまみを感じる。おいしい塩」と太鼓判を押します。
また、食べ物のイメージが強い塩ですが、日本での用途のほとんどが化学品や水道水の処理などに使われていて、食用は1割ほど。
私たちの暮らしのあらゆる場面で活用されています。
三井物産 塩事業室長・岡村裕子さん:
(日本の)塩の自給率は11%程度。かなりの部分を海外からの輸入に頼っている。(国内生産では)生産能力の問題もあり、日本の需要をすべて賄うには足りない。その部分を高品質でエコな天日塩で補えればと考える。
二酸化炭素排出量への意識が高まる現代。
環境にやさしい塩の安定供給を目指します。