記録的な大雨から1カ月あまり。裏山が崩れ、大量の土砂が流れ込んだ八代市の地域では、ようやく住宅の復旧作業が本格化しています。被災者の住まいだけでなく、〈生きがい〉も守るボランティアの活動を取材しました。

【野口 みつ代 さん】
「〈ダメだろう〉と。〈今年が最後だろう〉と思った。ボランティアの人が『ブドウは残してやるよ』と言われて、ありがたい」

8月の記録的な大雨で土石流が発生した八代市興善寺町の隣、岡町谷川地区で暮らす野口 直廣 さんと妻のみつ代 さんです。

地区の裏山が崩れ、大量の土砂が野口さんの自宅周辺を埋めつくしたほか、住宅の一部が泥水に漬かりました。

【野口 直廣 さん】
「何から手を付けていいか、見当がつかなかった。頭だけが空回りした状態」

周辺の道路などを埋めつくした土砂の撤去作業に時間がかかり、9月に入ってようやく住宅の復旧が本格化しています。

【大阪からのボランティア】
「私たち動ける人が来て、少しでも沈んでいる心を前に向けるように手伝うのが役割かな」

9月14日、野口さんの自宅では、県内外から駆け付けたボランティアが片付けに汗を流していました。

【7DAYS 白木川 直己 さん】
「片付けだけでなく、地域住民の気持ち、生きがいを守るのも支援の一つ」

こちらは、妻のみつ代さんが7年前から栽培していたシャインマスカットのハウスです。

【野口 みつ代 さん】
「(土砂が)1メートルは入っている。とにかく立てない。膝をついて(収穫するような)状態」

みつ代さんは土砂が堆積したハウスに入ってどうにか収穫しましたが、〈来年以降の栽培はもう無理だ〉と考えていました。

【7DAYS 白木川 直己 さん】
「『初めて植えたシャインマスカットなんだ』と悲しそうにされていて、どうにかしてあげられればと」

〈みつ代さんの生きがいを守ろう〉と、この日、ボランティアはシャインマスカットの木を傷つけないよう手作業でハウスに堆積した土砂を取り除きました。

【野口 みつ代 さん】
「農業は楽しみ。やればやるほど結果が返ってくる。大変だろうと思う、これだけの泥を手作業で…。〈全部、更地にしないといけない〉と思って、一から始めようと苗も頼んでいた。来年も頑張ります」

被災者に寄り添ったボランティアの心温まる支援によってみつ代さんの〈生きがい〉が守られました。

テレビ熊本
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