県民の安心安全を守る警察への110番通報だが、“非常識”な不要不急の通報が増え、問題となっている。一体、どんな内容の通報が実際にあるのか?110番を受理する現場を取材した。

「警察です。事件ですか?事故ですか?」福岡県内全ての110番通報を受け付ける部署、福岡県『警通信指令室』。緊急の事件・事故に対応する最前線だ。

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2024年の1年間で福岡県警に寄せられた110番通報の件数は、61万6281件(前年比+4万2423件)。2004年(約62万件)以来の60万件超となった。

このうち、交通事故など『交通関係』が最も多い約15万5600件で、事件の被害申告など『刑事関係』が約4万6900件。SNS型投資やロマンス詐欺などの犯罪が相次ぎ、110番通報するケースが増えている一因になっていると見られている。

「文鳥逃げた」緊急性ない通報3割

通信指令室では、毎日20人ほどが、数多くの通報を受け付けているが、職員にとって頭が痛いのが“不要不急”の110番だ。

「ゴキブリが出たので助けてほしい」「タクシーが捕まらないので呼んでほしい」など、全体の約3割は、緊急性のない通報や相談だという。

この日、経験豊富な通信指令課のベテラン、藤村茂警部補(48)も対応に苦慮する通報に直面していた。

「ん?何が逃げ出した?落ち着いて教えて?文鳥がいなくなったの?ちょっと落ち着いて下さい」

「いなくなったのは、あなたの文鳥っておっしゃった?ペットの小鳥がいなくなったの?」と通報内容を冷静に確認していく藤村さん。通報してきた女性は、飼っていた小鳥が逃げ出して気が動転して110番してきたようだ。

本来、逃げ出したペットの相談などは、110番対応の案件ではないが、困っている人を放っておけないのが警察官。藤村さんは、電話口の女性を落ち着くように促し、110番回線を確保するため、一旦電話を切ることを丁寧に伝える。「警察署から電話させますから、かかってくる電話に出て下さいよ。この電話は、切らせて頂きますね」。

今回のような事案は、警察的には、遺失届になるのだが、藤村さんは、相手がかなり興奮した状態で、『急いで来て!』と繰り返していたので、通報者の住む地域の警察署に対応を引き継いだのだ。

“不要不急の通報” 前年より増加

不要不急の通報は、相次いでいて、2025年6月までの数は、前の年の同じ時期に比べ、4500件ほど増加している。県民の安全、安心を守るための110番通報。この日、3時間ほどの取材で藤村警部補が受けた通報45件のうち、不要不急と判断されたのは20件と4割を超えていた。その中で、意外に多かったのが『駐車違反』に関する不急の通報だった。

「110番が1秒でも遅れることで、本来、助かる方が助からない場合もあるので、緊急の場合に限り110番通報をしてもらいたい」と通信指令課の堂本将生警部補が呼びかける。

警察は、緊急でない場合は、警察署に問い合わせるか、相談専用ダイヤル「♯9110」に連絡して欲しいと呼び掛けている。

(テレビ西日本)

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