神奈川県出身の斎藤美奈子さんは、2020年から秋田・北秋田市で地域おこし協力隊として活動し、地域の漬物文化を守り、住民が集う拠点を築いた。退任後も秋田に残り、移住6年目を迎えた今、彼女は「秋田の食をアフリカで発信する」という新たな挑戦に踏み出している。
漬物文化を守る「がっこステーション」
2020年、神奈川県出身の斎藤美奈子さんが秋田・北秋田市の地域おこし協力隊に着任した。

海外の飲食店で働いた経験を持ち、新型コロナで帰国したことを機に「憧れだった田舎暮らし」を実現。秋田内陸線の比立内駅を拠点に、駅舎の改修や飲食店の開業などを進めた。
特に力を入れたのは、地域に根付く漬物文化の存続だ。食品衛生法の改正で存続が危ぶまれる中、共同で使える漬物加工所を整備。
さらにコワーキングスペースを併設し、地域の人々が集える場をつくった。
完成から2年、施設は「がっこステーション」として親しまれ、漬物の直売や定食の提供など、地域の女性たちが主体的に活動する拠点へと成長した。
地域活性とは住民の自発性
斎藤さんは活動を通じて、地域の人々の意識の変化を感じている。
斎藤美奈子さん:
「1回やってみると感覚をつかめたみたいで、ここに住んでいる人たちが自発的に何かこの地域のためにやりたいとか、取り組みたいというマインドになることが地域活性なんだなということを、今回身をもって感じた」
当初は住民から難色を示されることもあったが、課題を共に乗り越えることで信頼が育まれ、今では地域の女性たちが自ら企画や販売に取り組むようになっている。
新たな挑戦 次の舞台はアフリカ
退任後も北秋田市に残り活動を続ける斎藤さん。次なる挑戦は、ウガンダとエチオピアへの渡航だ。まずは現地の日本食事情を探ることがメインの活動だという。
子供の頃からアフリカに関心を持ち、海外勤務時代にはウガンダの日本食レストランで働いてみたいと考えていた斎藤さん。2024年、この店に関わるチャンスを得た。
彼女が特に発信したいのは、秋田の食材「いぶりがっこ」。
斎藤さんは「秋田の食材の中で『いぶりがっこ』がとにかく好きで、それを海外でもっと発信していきたい。入り込めるチャンスがあるか、実際に見てみたい」と意気込む。
地域住民が背中を押す
斎藤さんの挑戦を支えるのは、地元の住民たち。彼女が留守の間、施設を守る役割を買って出てくれた。
地域の女性たちは「しょうがない、美奈子さんはやりたいことがいっぱいあるから」「今の姿のまま元気で帰国する日を待っているから頑張って」と彼女の背中を押した。
斎藤さん自身も「修行してきます」と笑顔で応え、約3カ月の滞在に臨んだ。
秋田を離れるとき、彼女の目には光るものがあったが、「架け橋になれること、秋田の食という部分をアフリカ圏で展開できるチャンスを私がつくれたらうれしい」と力強く語った。
秋田の食を世界へ
地域おこし協力隊として秋田に根を下ろし、漬物文化を守る拠点を築いた斎藤美奈子さん。今度はその経験を携え、アフリカで秋田の食を発信する挑戦に踏み出した。
「秋田の食をアフリカで発信する」――その夢は、地域の人々の応援とともに、確かな一歩を刻み始めた。
(秋田テレビ)
