交番などにある「指名手配」のポスターは誰でも見たことがあるだろうが、あの被疑者達は今も写真と同じ顔をしているのだろうか。

実は、今年8月末時点の指名手配被疑者約630人のうち3割弱が手配から10年以上経過しており、警察庁が指定する重要指名手配の中には昭和48年当時の写真を使っているケースもある。
老化などで印象が変わっている可能性も十分ありそうだ。

こうした中、ヤフー株式会社、株式会社電通デジタル、株式会社パーティーの3社は警察庁の協力を得て、指名手配被疑者の現在の姿をAIで予測する「TEHAI」プロジェクトを始動し、9月30日から情報提供を呼び掛ける特設サイトを立ち上げた。
 

出典:TEHAI PR事務局(以下全て)
この記事の画像(5枚)

公開している画像は警察庁指定重要指名手配被疑者12名のうちの5名で、それぞれの顔をクリックするとA・B・Cの3パターンの予測イメージが表示される。
 

パターンAの特徴は「加齢変化」を得意とするAIを用いていることで、パターンBは「肌の質感」が得意なAI、パターンCは画像を「大量比較」するのが得意なAIによる画像だという。

いずれのAIも、大量の顔写真データからシワの入り具合や皮膚のたるみ方などの加齢による特徴を抽出し、その特徴を被疑者の顔写真に適用することで現在の姿を予測しているそうだ。
さらに、それぞれのパターンごとに「やせ」「ふつう」「太らせ」の体型変化を加味し、合計9種類の予測イメージを公開している。
 

サイトでの表示

今回掲載された5名の被疑者はいずれも検挙に結びつく有力情報を提供した人への報奨金が用意されており、サイトの下部には連絡先の電話番号や入力フォームにリンクしたボタンが用意されている。

これまでにも指名手配被疑者が老化した想像図を公開することはあったが、AIは何が違うのか?また老化画像を作れるスマホアプリも存在するが、それとは何が違うのか?
担当者に聞いてみた。
 

画像のように老化する可能性が高いといえる

――AIで指名手配被疑者の予想画像を作ろうと思ったきっかけは?

様々な写真加工アプリに代表されるように、画像解析・生成技術は身近なものになりました。
その裏側にあるAI技術をもっと社会的意義のあることに活用できないか、そう考えたのがこのプロジェクトの始まりです。
企画の概要をご提案、賛同をいただいた上で、被疑者写真や被疑者情報の提供にご協力いただいたほか、皆様から広く情報提供して頂くためにはどのような内容を発信することが適当かについて調整してきました。
 

――人間が書く想像図とAIは何が違う?

本プロジェクトではAIが数万枚の画像を学習し、人の老化傾向などを捉え表現しております。
人の主観などではなく、「統計的に生成結果のように老化する可能性が高い」と言えると考えています。
ですので厳密には今回のプロジェクトは「老化加工した」ではなく、「老化した姿を生成した」という表現になります。
 

――老化加工画像を作るスマホアプリとは何が違う?

既存の写真加工アプリの多くは、人間が今まで行ってきたシワを消したり、肌を明るくしたりなどの画像修正・加工技術を元にしていますが、今回のAIに関しては数万枚の画像から特徴を学習し、AIが「ゼロから生成」した画像になります。
 

――この5名に絞ったのはなぜ?

今回の対象となっている5名については、警察庁指定重要指名手配被疑者のうち、捜査特別報奨金や懸賞金の掛かっている被疑者であり、特に情報を広く求めているものであるため、選出いたしました。
 

――他の被疑者の予想画像を公開する予定は?

現状は未定ですが、本プロジェクトの効果、反響を見て検討して参ります。
 

――被疑者の「想像図」はこれからどうなる?

AIアルゴリズムの進歩による予測精度の向上、表情・角度の変化、動画・3D化など、さらなる発展は考えられます。

プロジェクト「TEHAI」の実施期間は12月31日までとなっている。
「統計的に生成結果のように老化する可能性が高い」と担当者は自信を見せたが、AIを活用する新たな試みが被疑者の検挙につながることを期待したい。
 

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