線状降水帯が強弱を繰り返しながら、半日間にわたって熊本県にかかり続け、死者・行方不明者5人を出した記録的大雨から9月11日で1カ月。このとき熊本市で観測した雨の量は、死者・行方不明者563人を出した昭和28年の『6.26白川大水害』に匹敵するものだった。
熊本市では24時間に380ミリの雨を観測
2012年の九州北部豪雨や2020年の7月豪雨でも熊本に甚大な被害をもらたした『線状降水帯』。8月の大雨では、この線状降水帯が10日夜から11日の午前中にかけて、強弱や南北動を繰り返しながら、約半日間にわたって熊本県にかかり続けた。

熊本市では、24時間で8月の月間降水量の2倍に当たる380ミリの雨を観測。これは563人の死者・行方不明者を出した昭和28年『6.26白川大水害』の時の雨に匹敵する。

ただ、この時と比較すると阿蘇地方での雨量が少なかったことや、立野ダムなど白川のインフラ整備が進んだことなどから、白川の洪水という最悪の事態には至らなかった。梅雨でも台風でもない時期に熊本を襲った線状降水帯。自然の猛威を見せつけられた8月の記録的大雨だった。
住宅被害は計8443棟と7月豪雨超え
一連の大雨で、熊本県内では男女4人の死亡が確認されたほか、熊本市東区の会社員の男性(60代)の安否が現在も分かっていない。

また、熊本県によると、全壊や半壊、一部破損、床下・床上浸水を含めた住宅の被害は計8443棟で、5年前の2020年7月豪雨の被害件数7414棟をすでに上回っている。

商工業や観光業、交通関係の被害額は約280億円。公共土木施設の被害額は約559億円。農林水産業関連の被害額は約799億円で、今後、さらに膨らむ可能性がある。

こうした中、下益城郡美里町では9月8日から仮設住宅の建設が始まった。県によると、一連の大雨被害を受けた仮設住宅の建設は美里町が初めてで、町内2カ所に6戸を建設予定。

熊本県ではみなし仮設住宅への入居も含めて、今後も被災した地域と連携し、仮設住宅の建設などについて協議を進めていくとしている。
(テレビ熊本)