半導体製造装置を手がける企業『マイスティア』。今回、『Fab4(ファブフォー)』と呼ばれる最新の工場内へ特別にカメラが入ることが許されました。
製造現場や自社開発のロボットを取材。業界内で重要視されている「人材獲得」そして「教育」の戦略にも迫ります。
【マイスティア 蔭山 有美 さん】
「〈人こそが限りない価値だ〉という思いを大事にしながら人とテクノロジーが融合していくというところを目指しています」
半導体製造装置の企画開発・製造販売を手がける企業『マイスティア』。
社名は〈名人〉を意味する『マイスター』と、〈最前線〉や〈開拓〉を指す『フロンティア』をかけ合わせた造語です。
総工費約50億円をかけた『Fab4』と呼ばれる最新の製造拠点が合志市で本格稼働を始めています。
この日も、ケーブルやコネクタ、配管チューブなどの部品がひっきりなしに運び込まれていました。
奥行約100メートルの広い工場内。細かい部品やケーブルを圧着・圧接させ、少しずつ半導体の製造装置が組み立てられていきます。
【西村 勇気 アナウンサー】
「マイスティアのすごいところなんですが、工場内で物を移動させるシステムやロボットを自社開発しているというところなんです」
こちらは工場内で機材や部品を運ぶロボット。そのパワーに驚きました。
【マイスティア 東 勇弥 さん】
(このロボットはどれくらいの重さを引っ張れますか?)
「300キロは運べますね」
その他にも、空気の力で箱を吸い上げ移動させるロボットなど、自社開発のアイディアをどんどん実用化。物理的に負荷の高い作業はロボット、より繊細な判断が求められる仕事は人の手で行うよう、分業が進んでいます。
ただ、安定的な生産を継続して行うには優秀な人材が欠かせません。
経済産業省のデータでは1999年以降の20年間で半導体関連の人材が全国で約3割減少したという調査結果も。業界内での人材獲得競争が続く中、力を入れているのが教育環境の充実です。
【マイスティア 蔭山 有美 さん】
「未経験の方でも安心してもらえるような取り組みをさせていただいていますので、研修もそうですし、入社後のコミュニケーションもしっかりとって、活躍できるような場を提供しております」
この日は製品を組み立てる上で基礎的な技術、ねじを締める研修が行われていました。
一見、単純な作業のように見えますが、ねじの頭が壊れないよう気を付けながらきちんと締めるには相応の経験が必要です。
どの社員も真剣な眼差しでドライバーを握り、数種類のねじに向き合っていました。
【マイスティア 釘山 健太郎 さん】
「初めて工具を扱ったりしたんですけど、すごく分かりやすく教えていただいたので、けっこう使い方とかも体で覚えることができました」
釘山さんは教育関連の仕事から半導体業界への転身。新天地での心境を聞いてみると…。
【マイスティア 釘山 健太郎 さん】
「最初はすごく不安が大きかったんですけど、できるようになってくると達成感というか、すごくうれしくなります。組み立てた製品が実際に市場に出回ったりするのに喜びを感じますし、それが熊本の発展につながっていくといいかなと思います」
マイスティアでは入社後3週間にわたって研修を実施。さらに、製造現場に出た後も技術の学びなおし『リスキリング』を適宜行い、品質の向上につなげています。
【マイスティア 蔭山 有美 さん】
「製造(部門)と開発(部門)が一緒になって新しい工場を作っていく。人口も減っていますし、(他社との)人材の取り合いという現状もありますので。そういったところで人が一人でも多く来てもらえるような環境づくりを行っています」
マイスティアによりますと、今後、製造現場で働く人材を約100人採用し、市場での競争力強化に努めていくということです。