IT企業といえば、“パソコンに向かってデスクワーク”というイメージを持つ人が多いだろう。そんなイメージを覆す企業が秋田・仙北市にある。本業の枠を超え、トレーニングジムの運営やヤギの飼育など、「あったらいいな」の声に応えるべく意欲的に挑戦する姿を追った。
秋田・仙北市の誘致企業第1号

仙北市角館町にあるIT企業「リベンリ秋田」。仙北市の誘致企業第1号として2023年3月に誕生した。ソフトウェアの開発のほか、企業や自治体などのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する手助けをしている。
リベンリ秋田が手がけた仕事の中で、最もよく目にするのは秋田県の情報マップシステム「クマダス」だ。

クマの目撃件数が増加する中、「注意を呼びかける情報を地域で共有できれば」という声に応えてシステムを構築。厳正な審査の結果、クマダスの開発を県から受注した。

また、「本気で英語力を伸ばしたい」という声から、国際教養大学(秋田市)の卒業生が講師を務めるオンラインの英語教室「Litera English(リテライングリッシュ)」を開講。
ITの枠にとらわれず、地域の「あったらいいな」の声に応えるサービスを生み出している。
パーソナルトレーニングに着目
リベンリ秋田が次に目を付けたのが、パーソナルトレーニングだ。IT企業とパーソナルトレーニング、一見結び付かないような気がするが、櫻井誠社長は「ITはデスクでずっと仕事をすることが多いので、運動不足になるのは業界の常だった」と話す。

従業員をはじめ、地域住民の運動不足を何とかしたいと、6月にJR角館駅前で「Litera Fitness(リテラフィットネス)」をスタートした。
新たにトレーニング施設をつくるのではなく、トレーニング機材を自由に使える既存のレンタルジムの空き時間を利用して営業。地元在住のトレーナーが、利用者の目的に合ったトレーニング方法をマンツーマンで指導してくれる。トレーナーとの会話を楽しみながら汗を流せるのも魅力の一つだ。

トレーナーを務める佐々木有沙さんは、元々仙北市内でパーソナルトレーナーとして働いていたが、フルタイムを希望し、リベンリ秋田の総務や経理などのデスクワークも担うことになった。
リベンリ秋田は地域の雇用の受け皿としても一役買っている。

佐々木さんは「様々な経験をさせてもらっていて、自分のスキルアップにつながっている」と話す。
リベンリ秋田は今後、運動や生活習慣を記録できるアプリの開発など、IT企業としてのノウハウを生かした展開も考えている。
新たな仲間“ヤギ”とともに地域活性を
リベンリ秋田の新たな取り組みはこれだけにとどまらない。
櫻井社長が「うちの新入社員です」と紹介してくれたのは、なんと“3匹の子ヤギ”だ。

リベンリ秋田では、市から請け負う移住体験事業のマスコットとして、地元の人から3匹の子ヤギを譲り受けた。社員が愛情を込めて世話をしながら、地域を盛り上げるプロジェクトにつなげられないか模索している。

櫻井社長は「どうやって外から人を集めてくるか、帰ってきてもらうかを中心に考えて、『楽しそうだな』『ここなら仕事できそうだな』と思えるような地域づくりを、地域の人たちと一緒にやっていきたい」と意気込む。
“秋田を、仙北市を元気にしたい”。その思いを原動力に、リベンリ秋田は挑戦を続ける。
(秋田テレビ)