記録的猛暑となっているこの夏、あまり蚊に刺されなかった…という人も多いのではないだろうか。専門家に聞くと、実は、蚊もあまりの暑さに活動できていなかったのではないかという。注意が必要なのは、猛暑が落ち着くこれから。油断禁物だ。
35度を超えると蚊もしんどい
福井市自然史博物館の昆虫担当・伊藤勝幸さんに、蚊の生態について話を聞いた。
「やぶ蚊(ヒトスジシマカ)は30度前後が適温なので35度を超えると活動が弱まる。場合によっては死んでしまう個体もある。高温により活動が抑えられている」

草むらや家の周辺に生息している「やぶ蚊」は、産卵前の雌が栄養を補おうと動物の血を吸う。寿命は1カ月程度だが、1回の産卵で80個ほどを産む。さらに生涯で3~4回の産卵を繰り返すのだ。
伊藤さんには「ヒトスジシマカは5月から11月くらいまでは注意が必要」だといい、猛暑が落ち着いてくるこれからが、蚊の本格的な活動シーズンを迎えるという。

11月にかけて蚊が活発に
蚊が活発に活動する気温は35度を下回り、20度くらいまで。直近5年間の福井市の最高気温の平均をみると、8月は35度以上の日が続いている。9月に入るとようやく35度を下回り、11月末まで活動しやすい時期が続くことになる。
福井市で過去最多の猛暑日を観測したこの夏は、蚊にとっても過酷な環境が続いたことになる。涼しくなるこれからが、まさに本格的な蚊のシーズンなのだ。

“虫よけ商戦”にも影響
猛暑の影響は、虫よけグッズにも出ている。
福井市のスーパーセンター・PLANT3では例年、夏場には売り上げが伸びる虫よけグッズだが、広報の上山佳宏さんは「猛暑で8月の売り上げが昨年比で約90%になった」と話す。
虫よけグッズが売れる時期について「この後来るのではないか」と予測している。そのため「例年は9月中頃には売り場を縮小するが、今年はお客さんの動向や売れ行きをみて売り場の延長、継続を考えている」としている。

蚊に刺される傾向と対策
蚊に刺されやすい人には、次のような特徴がある。
▼汗をかきやすい人(運動をしている人)
▼二日酔いの人(二酸化炭素を多く出す人)
▼黒い服を着ている人

蚊に刺されないためには、次のような対策を取ろう。
▼虫よけスプレーを使用する
▼長袖長ズボンを着用し肌の露出を防ぐ
▼家の周りに水たまりをつくらない
▼家の周りに蚊が休むような草むらをなくす(草むしりをする)
まれに過剰なアレルギー反応を示す体質の人もいるため、涼しくなっても気を抜かずにしっかりとした対策を取ろう。
