投資会社の経営などで巨万の富を築くも、2019年に未成年の少女らへの性的人身売買の罪で逮捕・起訴され、拘留中に死亡した、投資家・ジェフリー・エプスタイン氏。

そんなエプスタイン氏に関する資料、通称“エプスタイン文書”をめぐって、世界中に波紋が広がる中、エプスタイン氏との関係が取り沙汰されている、アメリカのビル・クリントン元大統領が、連邦議会の委員会で証言を行いました。

クリントン元大統領は、エプスタイン氏の自家用ジェット機に少なくとも17回乗った記録があるほか、エプスタイン氏の共犯者である、ギレーヌ・マクスウェル受刑者とみられる黒髪の女性と並んで泳いでいる写真も公開されています。

しかし、日本時間の2月28日、約6時間にわたり行われた非公開の証言で、クリントン元大統領は自身の関与を否定。
さらに、その後自身のSNSでも、「エプスタインとの短い交流は、彼の犯罪が発覚する何年も前に終わっていた」「エプスタインが犯していた犯罪行為については全く知らなかった」と、改めてエプスタイン氏が行っていた犯罪に関与していないと強調しました。

一方、同じく聴取を受けた妻のヒラリー氏は、文書の中に頻繁に名前が登場するトランプ大統領に触れ…。
ヒラリー・クリントン氏:
共和党主導の委員会が、トランプ大統領とエプスタイン氏の関係から関心をそらすために
私に証言を強要している。この委員会がエプスタイン氏の犯罪を暴くことに真剣であるなら、現職大統領がメディアと即席の質疑応答をする代わりに、自ら宣誓して質問を受けるべきだ。

28日、突然、イランへの攻撃を開始したトランプ大統領。
『サン!シャイン』は、攻撃が開始される前日の27日に、トランプ氏がエプスタイン文書への関心から国民の目をそらすために、「軍事行動に出る可能性がある」と懸念していた、峯村健司氏に改めて詳しく話を聞きました。
イラン攻撃が現実に…エプスタイン文書とトランプ氏
キヤノングローバル戦略研究所・上席研究員
峯村健司氏:
私、実はエプスタイン氏の知り合いとは結構交流があったのですが、一番、エプスタイン氏と交流が深かった政治家の1人として名前を挙げていたのが、ビル・クリントン氏なんです。奥さまのヒラリー氏とは(エプスタイン氏は)ほとんど交流がなかったようなのですが、ビルとはかなり交流があって、仲が良かったと聞いていました。
そのクリントン氏をもってしても、今回全否定、「エプスタイン氏の犯罪については知らなかった」と言っている。これはしかも、メディアのインタビューなどではなく、議会の証言でしっかりと言っている。これは後で検証されてしまいますので、この場で完全否定したと言うことは、おそらく犯罪にはコミットしていないということを示したかったのだろうと。

――ヒラリー氏は、トランプ氏にも宣誓させた上で直接尋問するべきだと求めていますが
峯村健司氏:
クリントン氏がリスクを取ってしゃべったということは、“肉を切らせて骨を断つ”ではないですが、自身が犠牲を払ってでもトランプ氏を議会に引きずり出すためにこれをやったと見ています。トランプ氏自身も、アメリカの報道を見ていると、(エプスタイン氏の犯罪に)関与していたのではないかと。性的虐待を受けたとされる人が、(トランプ氏について)証言しているという部分が削除されていたという話もあるので、このあたりは民主党のある意味“反撃”だと。

――峯村さんは以前から、この話を煙に巻くために、トランプ氏がイランを攻撃するのではないかと仰っていましたが、それが現実となりましたね
峯村健司氏:
なぜ私がこれをかなり断言…、「やる」といったかというと、実はクリントン氏の例があったからなんです。
クリントン元大統領も、1998年に秘書の方とホワイトハウス内で不倫をしたということがありまして、あのときに下院から弾劾裁判という形で「出てこい」という決定が出た翌日に、実はイラクにクリントン氏は攻撃をしているんです。そういう意味ではクリントン氏だけでなく、歴代の大統領はスキャンダルや“まずい話”が出てくると、外に注意を向ける、戦争をやったりという傾向があったので。おそらくトランプ氏もそういう可能性が高いと。

――それだけ政権基盤が揺るがされるものだとトランプ氏も認識している?
そうですね、当時のクリントン氏の事件というのも相当追い込まれていたので。そのくらいトランプ氏も追い込まれていると見ています。
今回、イランへ攻撃を行ったのは、自身のエプスタイン問題がまずいから、国民の“目をそらす”と。
“トランプ離れ”が加速
現在公開されているエプスタイン文書の中には、トランプ大統領の名前が1000回あまり登場し、写真も多数見つかっています。

トランプ氏は2月16日に、「私は潔白だ」として関係を否定していますが、トンラプ支持層である「MAGA派」の分断、“トランプ離れ”が加速しているといいます。
その背景には、トランプ氏の文書公開に対する発言が、二転三転したことも影響しています。

2024年の大統領選挙の際、トランプ大統領は「エプスタイン文書開示」を公約に掲げ当選しましたが、当選後に文書公開に反対。これにトランプ支持層が反発し、MAGA議員らが開示を求める事態となりました。

2025年11月には、MAGA派の代表格のグリーン下院議員が、トランプ氏との対立を深め辞職を表明。そして、2025年12月、ようやく「エプスタイン文書」が公開されましたが、その多くが“黒塗り”になっており、反発を強める形となったのです。

峯村健司氏:
MAGA派の人たちの意見を聞くと、黒塗りがあまりにも多すぎると。何が都合が悪いんだというのと。さらに、どうもなくなっているページが50Pくらいあって、その中にトランプ氏が出ているのではないかという疑惑が出ていると。
特に、(辞職した)グリーン下院議員は、かなりトランプ氏の“コア”な、一番中心で支えていた人なんです。やはりこの人が離反した最大の理由が、エプスタイン文書にトランプ氏が関わってきたということになっていますので、トランプ氏がイランを攻撃したり、ベネズエラを攻撃したりするひとつの動揺の原因が、一番自分を支えてくれたコアな支持者が逃げていることに対する焦りの裏返しだと見ています。
(「サン!シャイン」 3月2日放送)
