岩手県大船渡市で発生した大規模な山林火災は発生から、8月26日で半年です。
被災した建物の解体は今も完了しておらず、なりわいや森林の再生に向けても課題は山積しています。
(報告:井上智晶アナウンサー)

今回の山林火災により、大船渡市内で最も多くの建物被害があった三陸町綾里の港地区です。

市内では54棟の住宅が全壊しましたが、このうち15棟は港地区の住宅となっています。

復興に向けては、まずは焼けた建物の公費による解体が必要なわけですが、今も手つかずの建物が残っていて、火の勢いの強さを物語っています。

一方、この地区の半分ほどは既に更地となっています。
付近では連日、公費解体の作業が勧められていますが、市に申請があった219棟のうち7月末時点で作業に着手したのが43棟、完了したのは6棟となっています。

市では8月から現場作業員を増やしていて、2025年内の完了を目指すとしています。

2025年2月26日に大船渡市で発生した大規模な山林火災では、平成以降国内最大となる3370haが焼失し、半壊などを含む建物の被害は226棟(8月4日時点)に上っていて、今も多くの人が仮住まいでの生活を余儀なくされています。

市によりますと、8月26日時点で綾里地区と蛸ノ浦地区の仮設住宅には合わせて26世帯、公営住宅には17世帯、民間の住宅を活用するみなし仮設には12世帯が暮らしています。

まちの基幹産業である水産業は21億円の被害が出ました。
焼けた倉庫などの再建を補助する県や市の制度は設けられましたが、解体が進んでいないことなどから、復旧が進まないと不安の声も出ています。

また森林は約3400haが焼けました。
国が費用を補助する災害復旧事業期間は2028年度までですが、焼けた面積が広いため期間中の完了は困難で、人手不足のなか、いかに復旧を進めるのか大きな課題となっています。

6月に発足した住民の自治組織「綾里地区まちづくり委員会」の村上芳春委員長に来ていただきました。

Q:山林火災の発生から半年が経ちますが、復興の現状についてどのように見ていますか。

綾里地区まちづくり委員会 村上芳春委員長
「公費解体は始まっておりますけれども、焼け残った所がまだまだありますので、感情的にはまだつらいところがあると思います」

Q:なりわいについては住民の方からどのような声が聞かれますか。

綾里地区まちづくり委員会 村上芳春委員長
「漁船漁業者の方たちへの支援がまだ行き届いていなくて、来年のワカメ養殖作業の準備作業がまだまだ進んでいないというふうに聞いています」

Q:今後に向けて村上さんが今懸念されているのはどういうことでしょうか。

綾里地区まちづくり委員会 村上芳春委員長
「この港地区では全焼した15世帯中、数軒しか戻ってこないと聞いています。小さくなったコミュニティーをどういうふうに維持していくか、それが問題だと思っています」

被災した皆さんが一日も早く元の日常を取り戻せるような、息の長い支援が求められています。

岩手めんこいテレビ
岩手めんこいテレビ

岩手の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。