記録的な猛暑やコスト高の影響で「令和の米騒動」とも呼ばれる中、今年も新米の季節がやってきた。価格は上昇傾向にあるが、生産者の努力と消費者の理解が重なり“秋の恵み”を待ち望む声も聞かれる。

新米入荷!「早場米」が続々と店頭に

広島市南区のショッピング施設「ミナモア」にある米専門店「AKOMEYA TOKYO」で8月中旬、一般的な新米より収穫時期の早い「早場米」が並び始めた。

待ち望んだ“秋の味覚”に足を止める人も
待ち望んだ“秋の味覚”に足を止める人も
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スタッフの新宅晴架さんは、
「最近『新米はいつ入るの?』という声を多くいただいていたので、やっと届けられる」と笑顔を見せる。
一方、来店客からは「値段が高いと聞くので、楽しみより不安が強い」と心配する声もあった。

生産者の苦労と避けられぬ価格上昇

バイヤーとしてさまざまな産地を巡るAKOMEYA TOKYOの星野仁志さんに、2025年の新米事情を聞いた。
「出来高は悪くないが、そこに至るまでの苦労は大きい。価格は例年の1.3倍ほどになると考えています」

AKOMEYA TOKYO 商品部・星野仁志さん(右)
AKOMEYA TOKYO 商品部・星野仁志さん(右)

背景には気候変動や資材高騰がある。星野さんは「どうしても高い価格帯になってしまうが、ストーリーやこだわりを伝え適正価格で届けることで稲作の持続性に寄与したい」と強調した。

高知県産の早稲品種「南国そだち」2合980円
高知県産の早稲品種「南国そだち」2合980円

新米の先陣を切って店舗に並んだのは、高知県産の早稲品種「南国そだち」。さっぱりとした味わいと冷めても“もちもち”とした食感が特長で、2合980円(税込み)で販売されている。

「味と価格」消費者がどう選ぶか

実家が専業農家だという男性客は、
「コメはコストが合わずに辞めざるを得なかった。作り手にはなれないので、食べて支えます。ただ高いだけではなく味と値段が釣り合うか、他に替えが効かないかが僕の中ではすごく大事」と話す。

「土鍋で炊くほどご飯が好き」という来店客
「土鍋で炊くほどご飯が好き」という来店客

農林水産省の資料によると、中国・四国地方のスーパーなどで販売されるコメ5kgの平均価格は、8月4日~10日の週で3580円(税込み)。最も高かった4月上旬(7日~13日)は4529円で、その差は約1000円となっている。

コメ5kgの平均価格はピーク時より約1000円下がっている
コメ5kgの平均価格はピーク時より約1000円下がっている

コメの品薄感は和らぎ、価格も一時期に比べ落ち着きつつある。今後は新米が続々と市場に出回り、高騰の中でも“秋の恵み”に期待が膨らむ。
消費者と生産者、それぞれの選択と支え合いが令和の米事情を形作っていくことになりそうだ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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