宮城を襲った局地的な大雨

2025年10月1日、宮城県内では朝から局地的に激しい雨に見舞われ、一時、「記録的短時間大雨情報」も発表された。
仙台港の周辺では、「道路が冠水して車から出られない」といった通報が相次いだ。
一部では冠水により緊急車両が近づけず、消防隊が徒歩で救助にあたるケースもあったという。
この日は、宮城県南の沿岸部から県北の内陸部にかけて帯状に雨雲が発達。塩釜市では1時間に52ミリ、3時間に111.5ミリを観測。宮城野区では、1時間に約100ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、「記録的短時間大雨情報」が発表された。
この大雨によるけが人はいなかったが、各地で甚大な被害が発生した。

JAF・日本自動車連盟宮城支部によると、今回の冠水に伴う出動件数は、大雨が降った1日からの2日間で69件。
宮城野区東部を中心に、多賀城市や塩釜市でも救助要請が相次いだ。
被災者に無償で車を貸し出し

この日の夕方、石巻市に本部を置く日本カーシェアリング協会は、早くも現地を調査していた。

日本カーシェアリング協会 吉澤武彦代表理事:
話を聞く限り、車を被災された方もいるという状況。どこでも水害は起こってしまう。
日本カーシェアリング協会は、寄付された600台の車を活用し、宮城県内のみならず全国の災害で、車を失った人に無料で貸し出している。
これまで全国各地で発生した31の災害で、のべ9000台以上の車を貸し出してきた。

今回の宮城県内の冠水被害でも、8日から貸し出しが始まった。
貸し出しを申し込んだ人:
雨で起きて、起きた時には車を動かせない状況。結局その日は家から出られなかった。
今回の大雨で車1台が水没し、全損となった。
勤務先まで車で15分の距離を、1時間歩いて通っているという。
今回の宮城の大雨被害について、日本カーシェアリング協会では、車の免許があり、被災を証明できる資料があれば、軽乗用車、普通乗用車なら2週間、無料で貸し出すことにしている。
支援期間は2026年1月末までで、その間、何度でも利用できる。
貸し出しを申し込んだ人:
支援する人がいるおかげで、少しでも快適な生活ができるのかなと思う。自分たちもありがたく利用させていただくと同時に、こういった活動に少しでも参加できれば。
直面する「車不足」という課題

支援を続けていく中で、日本カーシェアリング協会はいま、大きな問題に直面している。
支援に充てる車が足りないのだ。

協会の駐車場には、石川ナンバーの車両もあった。
能登半島地震やその後の水害で大きな被害を受けた石川県。支援のため車両を貸し出していたが、今は台数に比較的余裕があり、宮城での支援車両として待機させているという。
日本カーシェアリング協会 吉澤武彦代表理事:
全国各地で水害・災害が発生していて、車が全然ない状況。必要な支援のための車が、圧倒的に足りていない。
2025年8月8日から10日にかけて、九州地方で雨雲が発達。
特に九州西部から北部にかけて、36時間の間に、相次いで線状降水帯が発生した。
その結果、鹿児島や熊本、そして福岡で水害が発生。甚大な被害をもたらしたが、その影響が、車の支援にも響いている。
日本カーシェアリング協会 吉澤武彦代表理事:
九州でも車を待っている人が500人~600人いる。その上、9月に静岡で竜巻があった。秋田で水害があった。そして今回、宮城で水害が起こった。支援で必要な車が圧倒的に足りない。
生活再建を進めるために…寄付車両を募集

そこで取り組み始めたのが、大がかりな寄付車両の募集。
すぐに支援に活用できる車500台と、活用が難しくともリサイクルに回せる車500台のあわせて1000台を集めるというものだ。

活用できる車とは、製造から15年以下で、かつ走行15万キロ以下であり、車検が3カ月以上残っているもの。
こうした車両は協会で名義変更などを行った上で、被災現場で支援車両として活用される。

一方、すぐに活用するための条件を満たさないそれ以外の車でも、提携先の業者を通じて分解・リサイクルすることで金属材料を現金化するなどして、協会の活動資金する予定だ。
日本カーシェアリング協会 吉澤武彦代表理事:
車がないと、買い物、通院、手続き、次の日から何もできなくなってしまう。生活再建が遅れる大きな要因になってしまう。車を貸し出すことで、一気に前に進む。
新しい車を買う、古い車を廃棄する、運転免許を返納する。誰しも、車を手放すタイミングがある。
「通常なら下取りに出したり、廃棄にしたりするところを、『車を寄付する』という新しい選択肢を検討していただきたい」と、吉澤さんは話す。
日本カーシェアリング協会 問い合わせ先
電話の場合 050-5482-3677(水曜・日曜・祝日を除き午前9時半から午後4時まで)
※ホームページでの受付は24時間対応
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