日本で唯一、100歳を超えてもボウリングを楽しむ女性が佐賀にいます。長寿ボウラー番付で8年連続「横綱」の地位を守る大正生まれの女性ボウラーを取材しました。

まっすぐな姿勢。真剣な表情で見つめる先にはボウリングのピン。ボールを持つのは西原ミサエさん、なんと100歳です。

【西原ミサエさん】
「大正14年3月28日生まれです。100歳になりました」

日本ボウリング場協会によると75歳以上の女性ボウラーは5000人以上。
その中でも、女性で100歳を超えているのは西原さんだけで日本では最高齢です。

Q.ボール重くないですか?
【西原ミサエさん】
「いや、9ポンドやもん。」
Q.全然?
「うん」

軽々とボールを持ち上げる西原さん。私も挑戦してみましたが、9ポンドでもかなり重いです。

【吉冨綾花リポート】
「あー、おしい。狙いを定めるのがかなり難しいです」

西原さんは週に1回はボウリング場に通います。待っているのはいつもの仲間たち、70人以上いるクラブメンバーの平均年齢は73歳です。
100歳の西原さんはその中でもひときわ元気です。

【西原さん】
「行ってくれーー!わあ、行った。行きました行きました」
【メンバーの人たち】
「ついに行ったや」
【西原さん】
「はじめていったね」

毎週3ゲームを欠かさず投げています。

Q.疲れないんですか?
【西原さん】
「ぜんぜん」
Q.まだまだ投げられる?
「うん」

体力も、気力も、人一倍です。

【同じクラブの60代女性】
「元気。元気もらえるし、あーがんばってるなあって思って私も元気になる」
Q.ミサエさんはどんな存在?
【同じクラブの60代女性】
「目標。お母さんですから、目標です」

西原さんのボウリングの武器は「カーブボール」です。

【同じクラブの60代女性】
「ボールってまっすぐ行くのと、曲がるのがあるんですよ、ミサエさんのは曲がるボール。スペアをとるならここに投げて、っていうふうに頭を使われてされているのがすごいです」

西原さんのきょうのベストスコアは92。
この日は本調子ではなく、悔しさをにじませます。

【西原ミサエさん】
「ねえ、今日は調子悪いよ。今日は調子わるかよね」
Q.でもさっきはきれいに倒したじゃないですか
「うん、そうね。でもきょうはちょっとだめ」

【同じクラブの70代男性】
「練習熱心ですね。ゲーム終わっても練習されるしですね」

負けず嫌いの西原さん。この日は居残り練習に励みました。
西原さんにとって週に2回のデイサービスの時間も楽しみの一つです。

【西原ミサエさん】
「こがんして来よるぎ楽しかけんねやっぱり。話さんでも、みんなとおっけん楽しかけんね」

【西原ミサエさん】
「あいとっごたんね。行こうかね」

西原さんはここでもトレーニングを欠かしません。

【デイサービス職員】
「では30回どうぞ」

【西原ミサエさん】
「30ばってん35したもん。きつくないよ別に」

デイサービスでは最高齢の西原さんですが、パワフルさが際立ちます。

【同じデイサービスに通う90歳・女性】
「西原さんは元気です、もう。私はとうに負けている。元気けんね、私のほうが世話してもらっているんです。ちょっとおらんやったら『どこにいっとった?』って言ってね。『大丈夫?』とかね、すぐ言んさっです」

【同じデイサービスに通う80代・男性】
「目標、って言ったらいいかなあ、西原さんみたいに100歳まであんなして自分で行動できるような、そういうふうになりたいなという目標はありますね」

Q.皆が西原さんのこと憧れとか目標って話してましたが
【西原ミサエさん】
「みんなそう思うとやろうね、全然気にしてない。まだ100歳って思わんもん。なったごとなれって思うけんさ」

西原さんの元気の秘訣は・・・

Q.パワーの源ってなんですか?
【西原ミサエさん】
「食事やろうね、嫁さんが料理が上手かけん」

西原さんの家の隣には息子夫婦が暮らしています。
毎日、手作りのおかずを準備してくれているんです。
この日のおかずは目玉焼きと切り干し大根、高野豆腐です。

【西原ミサエさん】
「食べて。美味しいよ。甘い。食べん?」

そんな西原さんは、大正14年に鹿児島で生まれました。
小学校を卒業してすぐに働きに出たと話します。

【西原ミサエさん】
「これが一番最初に来たときよ。田舎から出てきた。ほら。これね。尋常小学校を卒業してさ。これみんな初めてあったとき。ね、着物着とる」
Q.普段着が着物だったんですか?
「うん着物やったねみんな、あのころは」
Q.何年くらいですか?
【西原ミサエさん】
「20年。昭和20年。終戦後。」

20歳で終戦を迎え、職を求めて佐賀へやってきました。
三味線や踊りなどを楽しみながら3月に100歳を迎えました。

Q.100歳まで生きるって思ってました?
「全然思わない。今もわからない。思ってないもん、100歳って。」
Q.何歳って思ってる?
「さあ、何歳っても思っていない。たまにはじっと考えるときもあるけど、楽しいことしか考えない」

大正・昭和・平成・令和を力強く生き抜く西原さん。
生きがいとなっているのは、やはりボウリングです。

【西原ミサエさん】
「今言えば生きがいになったね。でも行くぎ楽しいさ。家で寝とるよか。一人でも行けるけんね。やっぱり生きがいやろうね」

サガテレビ
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