テレビ宮崎の夕方ニュース「#Link」でお天気コーナーを担当している気象予報士・古山圭子さんが特技のイラストを使って天気の豆知識を解説するコーナー。今回は「なぜ宮崎では大雨が回避された?」をテーマにお伝えする。

九州各地で線状降水帯が発生し、福岡や熊本で豪雨被害が出ている。線状降水帯は、昼も夜も、お盆も正月も関係ない。8月8日から11日までの天気図を確認すると、停滞前線が九州付近をウロウロとしていたことがわかる。これにより、線状降水帯が鹿児島をはじめ福岡や山口、大分、熊本、長崎で発生した。この前線は季節柄、「秋雨前線」となっているが、「梅雨末期」のような雨の降り方となった。
九州各地で大雨となったが、宮崎では線状降水帯の予測が出たものの発生はせず、そこまでの大雨とはならなかった。今回はその原因を考察していく。

気象衛星ひまわり「雲頂強調画像」を見てみる。赤いところが「雲が高い」つまりより発達した雨雲であることを表しているが、九州付近は真っ赤になっている。
この原因は、対馬海峡付近に停滞前線があり、ここに向かってモンスーン由来の風と太平洋高気圧周辺の風が雨雲の材料を運び込んでぶつかって収束したことだ。

ここで注目すべきは、西よりの風が九州付近で吹いたということ。九州を断面図で見てみる。左側が西、右側が東とすると、西から暖かく湿った空気が流れ込んで九州山地にぶつかり、どんどん雨雲が発達して西側の地域で大雨になった。
宮崎でも一部、高千穂や五ヶ瀬などで雨が降ったが、沿岸部ではそこまで大雨にならなかった。結果的に、九州山地が雨をブロックしてくれたような形となった。ただ台風などで風向きが東よりに変わった場合、これと逆の現象が起こることには注意が必要だ。この先、前線は北上傾向のため、一連の雨は終了となる。

この先、13日からのお盆の天気を見てみると、にわか雨があるものの、全国的に日差しが届く日が多くなり、晴れて暑くなりそうだ。那覇は晴れマークがついているが、台風11号が接近していて、石垣島など八重山地方は13日にかけて荒れた天気となりそうだ。旅行される方は注意が必要だ。
(テレビ宮崎)