能登半島地震から復興を目指す和倉温泉の象徴として、老舗旅館「加賀屋」が新たな一歩を踏み出す。地震被害により休業が続く同旅館は、現在の建物を解体し、温泉街中心部に新館を建設する計画を発表。2027年度末の営業再開を目指す。

加賀屋が新館建設 その狙いは和倉温泉復興の象徴へ

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和倉温泉を代表する老舗旅館・加賀屋。2024年1月1日に発生した能登半島地震以来、休業が続いている。建物には大きく亀裂が入り、地下部分に海水が入り込んでいる。

地震から1年7カ月、加賀屋は現在の建物を解体、新たに新館を建設する方針を発表した。

新館の構想について、加賀屋の渡辺崇嗣社長は「お部屋のほうは全てオーシャンビューで、お部屋の中に半露天風呂をつけて、プライベート感のある部屋食をお楽しみいただけるようなしつらえで考えているところであります。」と語る。

15階から上の「雪月花」や、最もグレードが高い「浜離宮」など高級路線をイメージした内容だ。設計を手がけるのは建築家の隈研吾氏。客室数は現在の233室から約40室と大幅に厳選し、ゆっくりと流れる時間を館内で楽しんでもらう方針だ。

新館が建てられるのは、温泉街中心部にあるグループ旅館「松乃碧」を解体し、その跡地と周辺を含めた1万561平方メートルの場所だ。

立地選定の理由について渡辺社長は「これからの和倉温泉のにぎわい作りもそうですし、お泊りいただくお客様もこの和倉温泉のなかを歩いていただいたり回遊していただくにも、場所的にもこの松乃碧のこの場所のほうが利便性がいいのではないか」と説明する。

「大変、嬉しいニュース」温泉街からは歓迎の声

ようやく発表された「加賀屋、営業再開」の見通しに、周辺からは歓迎の声が上がっている。

能登ミルクの堀川昇吾社長は「大変嬉しいニュースで、和倉温泉の復興というのは加賀屋さんが復興してはじめて成し得るものかな。」と期待を寄せる。

おみやげ店「だるまや」の小泉孝史さんは「早く決まって良かったと思いますね。それによって皆さん、商売のことを考えますので。私らもある程度投資したり、投資しなくて済むとか色んな計画を立てれますので」と話す。

和倉温泉観光協会の奥田一博会長も「一番大きいグループの加賀屋がこういったかたちで方向性を出してくださったことが、これから街全体として賑わいを取り戻すなかで方向性を示してくださったことが我々も大変嬉しく思っております。」と加賀屋の決断を歓迎した。

グループ旅館も段階的に再開へ

加賀屋の営業再開は2027年度末を目指すとのこと。また、同じ和倉温泉にある加賀屋グループの「虹と海」は建物の一部を解体、修繕の上、2026年度下期に営業を再開、「あえの風」は2027年度上期に営業再開を目指すという。

和倉温泉の復興の象徴となる加賀屋の新たな挑戦に、地域全体の期待が高まっている。

(石川テレビ)

石川テレビ
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